あの子を出しにして楽しく遊んでるだけじゃないめんまの母はついにどす黒い思いをはき出した。
彼女のことを口にする度に必ず誰かが傷ついていく。みんなどこか負い目を感じている。思い出は思い出のまま風化するに任せるのが一番なのかもしれない。それこそが誰もが幸せになるやり方なのかもしれない。
もうやめよう』ゆきあつが言う。みんな口にしなくてもそう思っていた。
じんたんただ一人を除いて。


そしてついに、めんまがみんなの前に現れた。



まあ、そうですよね。
みんな傷ついて、それをちゃんとじんたんは知っていて、それでまだ“虚空”に向かってめんまと声をかけ続ける……すべてを知っているわたしが見ても、じんたんのアレはむかつきましたもん。これはゆきあつじゃなくたって殴りたくなるってもんです。



だけど、ちゃんといたよ。妄想の存在じゃなかったよ。
めんまが、いま、ノートに書いた文字を、みんなが見つけて読んで、それで理解したよ。



ホントに、彼女はここにいるんだって。



……一目見て『めんまの字だ』って断言するゆきあつがやだなぁ。やっぱこいつやばいなぁ。
って、まてよ。この文字を書いたのがゆきあつだったりするんじゃ?


やあよ! やあよ! こんなオチだったらやあよ!


なんか疑心暗鬼になるよね『あの花』って。



でも、あなるの思いとこぼれ落ちる涙には、疑いなんてこれっぽっちも抱きませんよ。
10年秘めていた思いです。口にすることに罪悪感を覚えてしまうような切ない思いです。


ただ、それを聞いたじんたんの背中は、彼女の気持ちを背負えるほどには広くなっていませんでした。自分の小さな背中からいろいろなものがこぼれ落ちていくのに無力感を覚えながら、彼は無言で立ち去るしかなかったのです。
泣き崩れる不器用で純粋な少女の姿には心が痛んだけれど、同じく不器用で目の前のめんまのことで精一杯な少年を、わたしは責める気にはなれませんでしたねぇ。



さて、これからどうなるんでしょうねぇ……って、武士!!髷がないけど。


そんなところで。また来週。
どーも心配事抱えてると集中できないなぁ。今回すっごいおもしろいはずなのにね。