緑あふれる田舎の高校に通う一年生の霧島海人は。両親を亡くしたあと祖父母の残した家で姉と二人で慎ましやかに生活を続けていた。唯一の趣味は祖父の残した8mmカメラ。といっても、いまはまだ何を撮るともなしにただカメラを回すことが楽しい、そんな段階だろうか。
その日の彼は夜遅くにダム湖の岸から高感度フィルムのテストがてらに星空の撮影を行っていた。ファインダーから覗く空はどこまでも暗い。これで本当に撮影が出来ているのだろうか? 一通りのテストを終えて不安げにつぶやいた直後、真っ暗だったはずの空に輝くまばゆい光。それは急激に接近してきた。海人の思考は追いつくことが出来ない。
光が地面に激突した衝撃で、彼は飛ばされた。岸辺の柵に激しく体を打ち付けられ、跳ね飛んだ体はそのまま湖の底へと沈んでいく。誰が見ても致命傷。


そんな彼の手を誰かの手が掴んだ。


とてもキレイな手だ。


いまは8mmカメラの機材の製造販売は壊滅状態で、現像もぎりぎりなんとかできないことはない、と、そんな暗黒時代だと聞きます。そりゃそうですね。わたしもカメラの実物は一度も見たことがありませんもの。あ、どこかでショーウィンドウ越しにはあったかなぁ? いずれにしても触れたことはまるでないですね。8mmで撮影された映像を直で見たこともないはずです*1


余談ですが、わたしも自主制作映画に出たことありますよ。ビデオ撮影でしたけどね。端役でちょっとしかしゃべらなかったけど、あれは楽しかったな。恥ずかしかったけどね。いい思い出だよ。頭を抱えたくなるような黒歴史の1ページだけどさ。




△▼△



ああなんか変な夢を見た気がする。
自宅で目を覚ました海人は、いつものようにカメラを手に学校へと向かう。気のいい友人たちに恵まれて穏やかに過ぎていく日常。でも、なにか残したい。このままでもいいけど、いまじゃないとできない何かを残したい。そんな具体性の無いぼやけた思いを抱いているうちにも矢のように過ぎていく日々。


なんか、したいね。高校生だし、夏だし。


そんな彼らを一歩前に進めるきっかけになったのは、どこか浮世離れした風の赤毛の先輩だった。
彼女は、時季外れに転校してきた謎の美少女だ。涼宮ハルヒならばそれだけでSOS団に引き入れるのに間違いないとんがった属性を抱いていては、どれだけ普通を装っていても目立つことは避けられないだろう。




なんらかの事情で決まっていたはずの下宿先へ世話になることができなくなってしまった彼女は、下校時にたまたま出会った海人に「うちにおいでよ」と誘われてついていくことになった。


ただ、勘違いをしてはいけない。海人はそんな自然にナンパなことが言えるようなイケメンではないのであった。それどころか、彼はやばい。マジやばい。妄想と現実の境目をたびたび踏み越えてしまうほど重症なエロゲ脳の持ち主だった。彼が誘ったイチカ先輩は、彼の脳内に巣くうイチカ先輩なのだ。そのつもりだったのだが、脳内彼女のはずのイチカは目の前にいた。何を言っているのかわからねえと思うが(ry


要するに、想像で話しているつもりの相手が実物だった、とそういうことだ。


ゲロやばい。



とにかく、そんな経緯でイチカは海人の家にやっかいになることになったわけです。
お風呂でシャンプーボトルの説明書を眼鏡越しに読むイチカ先輩。むむ? 眼鏡の先には見たこともない文字が……おお! 眼鏡型翻訳機!! これ欲しいね。






ちなみに、これを100倍くらいちゃっちくした*2リアルタイム翻訳機能を、iPhoneで手軽に実感して楽しむことが出来ます




閑話休題。そして起きる海人の急変。
首になにやら尋常では無い異変が起きている模様。


セルの代謝が!


湖で起きたことは夢ではなかったのか。
だとすればあの光は宇宙船。そして彼女は宇宙人。海人は宇宙の超技術により致命傷から蘇生して記憶を操作されていたのか。
何を言っているのかわからないけれど焦っているのは伝わってくる


リノ!




超SF展開キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!



いきなり田舎ののどかさと真逆の超科学です。なんか魔法少女にいるようなマスコットキャラです。バスタオルだけ巻いた裸でディープキスです。


そうなのだ。赤毛の先輩<貴月イチカ>は、どんなに普通を装うとしても、やっぱり普通ではないのでありました。




光に包まれながらカイくんが女の人と抱き合ってる幻が……



当然のようにタイミング良く帰ってくる姉と、偶然に同行していた柑菜に目撃されるのは言うまでもなし!
よしよし、ラストはお約束で〆、ね。




△▼△



うんいいね。
なんとなく懐かしい気分にも浸れる『高校生らしい高校生らしさ』っていうのかな。そんな日常系に難なく紛れ込んでいるSF要素がまた心地いいじゃないですか。


この一風変わった先輩を主演女優に他の普通の友人たちと一緒に撮っていく映画って、とっても興味が尽きません。


けっこう、楽しみな一本になりそうかな。
来週をわくわくしながら待とうじゃありませんか。


では、また。

*1:テレビ越しはありますけれど

*2:念のため言っておきますがあくまで『SF比でみればちゃっちい』わけで、これそのものはすごいものだしおもしろいものです