ついに思いを遂げた海人とイチカが二人だけの時間を満喫していたその裏で、美桜は『よき友人』として柑菜のフォローを続けている哲朗に、柑菜へ正直な気持ちを伝えるべきだと強く諭す。普段の彼女からは想像もできないような鋭い視線に射貫かれた哲朗は、いつものような軽口でごまかすこともできずに沈黙してしまう。
姉にも同じ事を指摘された。海人は気持ちを伝えることを恐れなかったからこそ想いを伝えることができたとのだ気づかされた。
哲朗は、いよいよ決心した。100%玉砕覚悟で、柑菜に告白をするのだ。
哲朗は思いを遂げることはできなかったけれど、柑菜に想いを伝えることはできた。
伝えることの大切さを伝えることができた。
×←柑菜←哲朗←美桜 という感じに行く手が阻まれていたんですよね。
美桜が哲朗を押し、哲朗が柑菜を押して、柑菜は海人に告白をすることができた。この告白も哲朗と同じ、ぜったいにうまくいくことのない告白。
だけど、好きだと伝えることに意味はある。前へ進むために、言わなきゃいけないことがある。
それにしても美桜ちゃん、すごいこと聞くよね。
「映画撮影にイチカ先輩を引き込んだのは柑菜を失恋させるためか?」
哲朗はこれで激昂すると思った。でも、そうせずに静かに否定していた。
俗に『本当のことを言われるとムキになる』って言うよね。だけどこれって実はそんな単純なもんじゃないのよ。そう思われるのがわかっているからわざと落ち着いて見せる人も多いんだよ。逆もしかりね。本当のことだと思わせるためにムキになってみせる場合もある。人が人のウソを見抜くのって、そうそうできることじゃないんだよ。
で、哲朗はまさにこういうタイプだと思う。努めて冷静を装うタイプ。
本質は全く逆で、若さのせいもあるだろうけど、本質はすぐに熱くなる性格ね。
そういう気持ちもあったことは、のちに柑菜への告白の時に言っていたようにね。
それだけがすべてじゃないと思う。だけど、それがないってぜったいないと思う。これはこの間言ったっけ……。
ていうか、美桜ちゃんどこにでも沸いて出るよね。
この子ホンモノのストーカーじゃないのかな……。
自分で『したたか』だって言ってたけどさ、実際そうだね。あれは哲朗君惚れちゃうでしょー。絶妙すぎるタイミングでしょ〜。
しかもでっかいおっぱいを背中にぐりぐりだよ。高校生の男の子なんてこれで落城じゃないの?
マジこわい。美桜こわい。
それで、柑菜。
柑菜もね、イチカ先輩には言っていたけど海人には一度も伝えてなかったんだよね。本人は知られてないとずっと思ってたんだよね。
だったらそのまま流そうと思っていたわけ。変な雰囲気になって友達としてつきあうこともできなくなるなんてイヤだし。
もうダメなのは決定したし、海人に余計な負担をかける必要もないし……。
それなのに、あのバカの哲朗が! これじゃ自分の方がずっとバカだし! そんな感じ?
「あたし、海人君が好き! 大好き!」
全く目をそらすことなく、逡巡することなく、海人は答える。
「ゴメン、谷川。俺は、先輩が好きだ」
……なんでこのもじゃもじゃ坊主がこんなにモテるのかとずっと思ってたけどさ、ここでようやくわかった気がするよ。
「知ってる。聞いてくれてありがとう」
これでようやく、一つの恋が終わった。そう、気持ちを伝えてこそ、はじめて失恋だよ。
△▼△
きゃ♥
なにこれ、のぞみわかんな〜〜い♪
……えーっと、アレですよね。アニメでこんなの見せられたのはじめてかも。
檸檬先輩お下品すぎ。ちょっとお茶を吹き出しそうになったのは秘密。
イチカ先輩は知らなかったところを見ると、宇宙にはこんなのないみたいですねぇ。
まあ、すっかりバカップルですもんね。必要かもしれませんね。
「あたし、くっついてるのが好きみたい」
「なにかないと(くっついちゃ)ダメ?」
とかさ。
うわ、ぶっとばしてえ。
さて、なんかここにきて宇宙人が増えましたよ。
イチカ先輩のお姉さんらしいですけどねぇ……まだまだ一波乱も二波乱もありそうで。
では、また。