きわめて一般的な日常

きわめて一般的な日常を綴っていたはずなのですが、いつのまにかアニメやゲームの話ばかりになっていました

夏雪ランデブー 第02回


亮介が六花に告白をしてから一週間。その間に二人の関係はなんの進展もない。六花の夫(故人)の妨害が効果的だったことは否めないが、へたれとまではいかないにしてもイマイチ攻めきることのできない亮介と、年下の男の子からの好意に戸惑いを隠せず自分からアクションを起こすことをためらう六花の、当事者二人の性格の問題が大きいのだと思う。


このままではいけない。いつまでも亡霊の思うままにしておけるか。
一念発起した亮介が六花を夕食にと誘うと、彼女は餃子が評判の中華料理店を選んだ。口からため息とニンニクのにおいを放ちながら、亮介は独りごちる。「今夜はダメか……


果たして、二人の初キスは、餃子の味だった


いいですね、若い男の子からの情熱的なアプローチに対する、六花さんの中に同居する少女のような狼狽と元既婚者ならではの大人の余裕。とっても魅力的な女性だと思います。
もう遙か以前に死が二人を分かった後にも忘れることのできない夫への思いと、いま目の前にいる肉を保った男性への渇望の間で揺れ動く女の性に、ちょっぴりヒロイン気分で酔ってる部分もなきにしもあらずなところがこれまたいわゆる“等身大のヒロイン”的な色気を感じてしまう、なかなかに男殺しな天然悪女と言えましょう。





そして、亮介君ね。前回言ったことに重なりますが、彼は何と言っても自然なんですよね。
そうだな。たとえば『どこにでもいるような普通の女の子』なんて紹介をされているキャラは、たいていがそれを読んだみんなが心の中で「どこがだよ」と全力でツッコミを入れるようなキャラじゃないですか。
彼の場合は誰もそんな紹介はしないけど、まさに『どこにでもいるような普通の男の子』なんですよね。没個性という超個性が光っている希有なキャラです。わたし今期の男子キャラの中じゃダントツでこの子ですよ。
基本とにかくやりたいやりたいなのに、それよりなにより好きになっちゃった彼女の気持ちをくみ取りたくて、結果若干へたれに見えなくもない部分がいいんです。ただへらへらしてるだけのホンモノへたれ主人公キャラとはまるで違うんです!
何を力説してるんだわたしは。


ああ、でも、今週のアレはダメだ。うん、六花さんに言ったんじゃないのはわかるけどさ。


哀れな旦那の事なんて忘れさせてやるぜウヘヘ


それなんてエロゲだ。




△▼△




さて。
元・六花の夫の島尾篤さん(故人)は、数年前に病死して以来、ずっと密かに花屋に住み着いて六花さんを見守り続けていたそうです。彼は花屋の建物内に地縛されているために、外に出かけることはできません。おまけに幽霊だからものに触れられず、亮介君が六花さんを外に連れ出そうとしても、通せんぼして邪魔することもできないし、追いかけて監視することもできないんです。
そしてそれは、六花さんが高熱で倒れても布団へ運んであげることもできないし、外の誰かに助けを呼ぶことすらできないことでもあります。


文字通り……いや、字面通りに“見守る”しかできない存在。
六花さんのためにここにいるつもりだったのに、自分には六花さんのためにできることが何一つないことがわかってしまった。


これはつらいですよ。
助けることができないのなら、それを知らない方がどれだけ幸せなことか。目の前で愛する女性が苦しんでいる姿を見ることが、そして愛する女性を助ける自分ではない男がそこにいることを目の当たりにすることが、どれほどに残酷なことなのか……想像するに余り有る嘆きと苦渋に満ちた存在、か。


ふむう。
とっとと成仏しちゃった方がいいですよ旦那さん。


とか、あっさり言ってみるわけよ。
いやだってねぇ、いまの状態ってホントに誰得だものね。まだ六花さんの周りから男を散らすことができる力があるなら、本人的には幸せにもなれるのだろうけれど。


そんなわけで、また。