アルバータ州エドモントンの空港を使ったコースは、昨年から新しいレイアウトが採用されていますが、佐藤琢磨(Rahal Letterman Lanigan Racing)にとって非常に相性がいいようです。昨年、佐藤はキャリア2回目、ロードレースでは初となるポールポジション獲得をエドモントンで達成しました。今年はポール連覇こそなりませんでしたが、予選4番手という好成績を記録し、レースは2列目インサイドの3番グリッドからスタートする権利を確保しました。そして、真っ青な快晴の空の下、大勢のファンが見守る中で開催された75周のレース、佐藤はすべてのラップを予選アタックのようにハードに走り、強豪たちと激しく競い合って自己ベスト、そして、日本人インディカー・ドライバーとして歴代最上位タイとなる2位フィニッシュを飾ったのでした。

INDY:佐藤琢磨が自己ベスト、日本人ドライバー最上位タイの2位フィニッシュ (ホンダ): FMotorsports Kaigai

祝・佐藤琢磨二位フィニッシュ!!



これはゴールではありません。ようやく立ったスタート地点です。
自己最高位であるとともに、日本人最高位タイ*1でもある。それがこの二位という成績でもあります。
是非とも佐藤琢磨には日本人初優勝を飾ってもらいたい。
それも、可能ならば今年中に! ムチャ? ううん、そうでもないんじゃないかなぁ、そう思わせる走りの結果が今回の二位なのですよ。


いつもがいつもですから*2、今回も最初から最後まではらはらしっぱなしでテレビにかじりついていました。おかげで午前3時からの外道時間放送にもかかわらず*3、眠気はほとんどやってきません。


コーナーでライバルのインに切り込むたびに「うわぁ、ぶつかるぶつける!
突っ込んでくるライバルをブロックしようとするたびに「ひぃぃ、隙間狭すぎやばいって!


冷静にみてみると、そのどちらも余裕すらうかがえる安全なマージンを取った上での見事なプロのバトルなんです。
そうなんですけど、これが佐藤琢磨となれば、なにもかもがこわいんです。


まさにトラウマまみれですね。
F1時代からの観戦で蓄積されてきたリタイアへの恐怖が、ついにこの間のインディ500でのあと一歩で優勝!? を接触で逃したアクシデントで爆発した、とでもいうのだろうか。





なまじ最近はいいところまで行ってから落とされる連発だったからなおさらですよね。
2位でいい、ううん、3位でいいよ、いやいや、5位でいいからリタイアせずにゴールしよう! 佐藤琢磨のファンとしてあるまじきへたれた思いを抱いてしまうまでに弱くなっているわたし。これではいけない。


彼の走りは、リタイアトップか!*4という、ある意味ムチャクチャとも言える好戦的な姿勢が魅力なんです。今回のレースで武藤さんも言っていました。「彼はファイターだからいきますよ」そう、これなんです。これこそが魅力。


そして今回、惜しくも一位は逃したけれど、それは決して一位をあきらめて二位に甘んじて得た生ぬるい二位じゃないんです。最後の一周、最後の一コーナーまで激しく競り合った上でやぶれた二位なんです。
この二つは価値が全く違いますよ。もう、ぜったい!


さて、中国での開催が見送られたために今年はあと四戦です。

  • ロードコースのミッドオハイオとインフィニオン
  • ストリートのボルチモア
  • オーバルのフォンタナ


ごらんのように、三種類のコースがすべて残っていますよ。
どこを走らせても速くなった佐藤琢磨選手に期待して待っていましょう。

*1:武藤英紀選手が2008年にアイオワで二位入賞しています

*2:ファンとしては心苦しいんですが、他のドライバーと比べて著しくリタイア率が高いのは否定できないでしょう

*3:北米で行われる昼間のレースを生中継なので

*4:まあ、まだ優勝経験はないですけど