きわめて一般的な日常

きわめて一般的な日常を綴っていたはずなのですが、いつのまにかアニメやゲームの話ばかりになっていました

夏雪ランデブー 第11回


部分部分を見ればそれなりに紆余曲折もあったにしても“それから”の時間はかくかくしかじかでまとめられるほどにおそらくは平穏な人生だったと思う。そう思わずにいられないほどに、たった数ヶ月の“それまで”は、濃密で、信じがたくて、一生に二度も起きてたまるかと思わせる冒険の日々だったのだろう。


だけど、みんな終わった。
”それから”ずっとここにいた六花も亮介ももういない。
何十年もすべてを見続けて、そして見届けた篤も、一人、天へと昇っていった。
それが成仏したものなのか、まだまだ遊び足りなくて他のどこかへ飛んでいったのかはわからない。


いずれにしても、三人の物語は、終わったのだ。


自分の妻に「(夫ではない)わたしの好きな人はどこ?」と聞かれてしまった夫の心境は察するに余り有るものですが、シチュエーションがシチュエーションなので、その部分だけ抜粋でもしない限り、背徳的な気分も退廃的な気分もまるで感じません。心の片隅にこびりつく残念な気持ちは、どこか別の作品ででも補うとして、篤はこれでキレイに後腐れ無く去って行く気持ちを無くしたんだと思います。
やっぱおもしろくないもんね。わかってるけどさ、仕方ないけどさ、誰も悪くないんだけどさ、それでも、おもしろくないもんね。


自分の後を追って死ぬと言ってくれる妻を、本当に連れて行きたくなっちゃったのは当然だと思います。
とはいっても、そんなことできるわけがないんです。まだまだこれからの若い六花の命を奪うなんてとんでもない。


だから、力一杯、跡が残るほどに首を噛んで、言ったんだと思います。


ボクは実は吸血鬼だからこれでキミも仲間になったよ


死霊として仲間になるまでもない。生きたままでいいんだよ。



△▼△



あの人に気づいてくれてありがとう。
体を張って教えてくれてありがとう。
あなたがいてくれてありがとう。
あなたを好きになってよかった。



オレだけが店長とダンナをつなぐ存在になれる。
店長にとってオレ以外の男なんてダメだ。
一緒にダンナの骨を食べてもいい。
だって、これからの店長の時間はすべてオレのものだから。




これからを生きる二人の間には、これからも数多くの言葉が行き交うにちがいありません。
それは愛の言葉かもしれない、ときには憎しみの言葉もあるかもしれない。
どちらにしても、ようやく深く繋がった二人の気持ちは、これからもっと言葉の数だけより深みを増していくことでしょう。



でも。



ボクは六花ちゃんを幸せにしたい



もう生きてはいない島尾篤の思いは、この一つだけなんですよね。
それだけに切なく重いけれど……。


△▼△


ん。なんかラストで急激に時間がジャンプして「え? え?」という気持ちは否めないんですけれど、一応のハッピーエンドを迎えたことで納得しておくとしましょうか、ね。
いやぁ……ハッピーなのか? これさ、六花が死んだあとも、篤は一緒になれなかったんだよね。未だに花屋で漂っている篤を横目に、六花も、亮介も、迷うことなく黄泉路へと向かってしまったんだよね。だけど、そうか。全員にとってハッピーってのはないわね。視点をどこに置くかよね。


いやいやいやいや、待ってよ。そもそもさ、俗に、残された生者の未練こそが死者の成仏を阻む、って言うじゃない?
篤の部屋とかさ、ホントは早々に整理しなきゃいけなかったんだよね。そういうのが、彼にはかない希望を持たせ続けてしまった原因の一つだと思うしさ。


ああ、でも、最初の頃はともかく、最終的には六花への妄執だけであそこにいたわけじゃないのもそうなんだろうね。
篤はホントに亮介も好きだし、認めていたんだろうと思う。じゃなきゃ、六花がなくなったら早々にあの家を出ていたはずだよ。
……や、好きなのはそうにしても、すっかり浮遊霊が板についてあちこち飛び回っていた篤が、久しぶりに戻ってきたようにも見えた、か。




んー。
てな具合にさ、もやもやや理解の難しいことや、いろいろすっきりしない部分もあるけれど……アリじゃないかな、うん。
悪くない作品だったと思う。楽しめたよ。


そんなわけで、スタッフの皆さんお疲れ様でした。次回作にも期待しておりますです。
ではでは〜。