練習したり、歌や小道具を作ったり、いろんな人の協力を得てみたり。
そして、いよいよやってきた本番当日。合唱部の5人は無事に理事長の妨害をはねのけて、歌い、踊り、声楽部の応援も得て、大勢の観客の前で白浜坂高校最後の白祭を大成功へと導いた。


そうして、みんなが一つになって同じ目標へと駆けあがり、ついに頂上に立ったのもつかの間。高校三年生の彼らは、次の目標のために今度はたった一人で戦い始めなければならない。卒業を待たずに海外留学を選んだ紗羽をはじめとして、あれだけ仲のよかった友達ともばらばらになって、それぞれの未来のために、一歩足を踏み出すのだった。



ん。最後に校長先生ちょっとがんばった。
確かにその通り、理事長が生徒に直接“指導”を行うことは、越権行為に他なりません。理事長とはいわば単なる社長にすぎず、教育に関する権限を有してはいないのです。
もっとも、そういう話をするならば、前々回にも言ったように、学校をいきなりつぶしてマンションにするような権限もないんですけどね!
まあいいや、そこはそういうもんだということで。


ここで大事なのは、最後の最後に校長先生は立派な教育者だったと言うこと。
そして、理事長はちょっとの改心もすることなく下衆野郎のまま通した守銭奴キャラだったと言うことでしょう。
わたし、理事長すっげー嫌いですけど、同時にそういう意味では『いいキャラ』だと思ってます。だって、誰も彼もがいい子ちゃんになったらしらけちゃうでしょう? 悪党は最後まで悪党、って、好きなんですよね。


こう、ね。生徒の将来を盾に言うことを聞かせようとかね。うん、まさにこいつは教育者なんかじゃないや、それは絶対にやっちゃいけないこと。少年犯罪の凶悪化が叫ばれる昨今*1、手段を問わず何でもありを容認しようとする声が特にネットの掲示板などでは大きいです。だけど譲れない一線はそこにあると思うんですよ。信頼関係なくして教育も何もねえや、と。




さて。
紗羽は騎手への夢を捨てきれずに海外へと旅立ちました。受験までに少しでも現地の言葉を覚えようと、卒業式を待たずに単身です。
すごい勇気ですよね。本当に馬が好きなんですね。


何も言わずにそれを見守っていた大智は、紗羽が日本を旅立とうというそのときになって、ようやく自分の気持ちを告白するのですよ。きっと、もっと早く言えば、紗羽の決心が揺らぐんじゃないか、そう思ったのかもしれません。端から見ればそれは自意識過剰じゃないかと感じるかもしれない。それでも、好きになったら命がけの時代の純情少年が自分の気持ちを押し殺した気持ちを、わたしにはは笑うことはできませんね。
ちなみに大智は、しっかりとバドミントンでの大学推薦入学が決まっています。彼もまた、自分の夢に向かって歩いているのです。


和奏はおそらく廃校後にまだ失業中の*2教頭先生を家庭教師に、浪人して音大を目指しています。いろんな不幸や幸運が重なったおかげで大きく回り道することになってしまったけれど、それでも大好きな音楽への道を歩きたい。その気持ちでいっぱいなのでしょう。


ウィーンは行方がわからなくなっていたヤンと無事再会を果たします。今までずっと話してあげたかった日本での出来事を、これから思う存分話していくんでしょう。


来夏は……特に卒業後の目標はなかったみたいです。何となく大学に通って、何となく授業を受けて。
あ、でも、ほら。なんだか合唱部を作ったときのような目をしている。新しい友達と楽しめるおもしろそうなことを見つけたのかな。



△▼△




そんなところで、大変満足な作品でした。
最後までやらかすこともなく*3、絵・音・話のすべてが高レベルで安定した今期一番の傑作だったと思います。
特に、以前の合唱コンクールでの本番をほとんど描かないずに切ってしまうところとか、この最終回での白祭のあっさりとした扱いとか、とにかく、そこに至るまでの道筋にこだわり、結果はあとからついてくるものでこだわる必要はない、と言いたげな演出には惹かれましたねぇ。


まあ、細かいことを言えば、ところどころでCGくさすぎる構図が散見されたのが気になることがあったとか、ウィーンは結局なんだったのか*4とか、いくらでもあるんですけどね、ささいなことだと鼻息で飛ばしてしまえそうなほどに、いまのわたしは満足しております。


スタッフの皆様お疲れ様でした。想像通りに、いや想像以上にステキなお話をありがとう。次回もいい作品を作ってください、っと。


あ、最後の和奏は、遠くの音大にでも受かって一人暮しをしているのかな?
ちょっと大人びてきて、お母さんに似てきたね。

*1:これも実は調べてみると眉唾なんですが

*2:あえて次を探していないのかも

*3:超展開はありましたが

*4:日本に戻ってきてこれからどうするのかさっぱりわからないままでした