笹塚駅前での死闘から二ヶ月。その間、世界は平和だった。魔王は毎日の仕事に生きがいを見いだし、ルシフェルが増えた分ますます慎ましやかな生活になる中でも、悪さ一つしようとはしないのだ。

それは、世界の平和を守るために毎日のように魔王の監視に張り付いているはずの勇者エミリアが、まるでやばいメンヘラのストーカーに見えてしまうほどに、善良この上なく順法精神旺盛な魔王一家の暮らし向きなのである。

しかし、平和は長くは続かない。密かに、だが確実に、彼らの元に魔の手は忍び寄っていた。


なんか、ちーちゃんがアグレッシブになってますよね。
先週まではもっと慎ましやかな一途さが目立っていたのに、やはり大きな秘密を共有するようになったからでしょうか。いや……考えてみれば最初から恵美絡みで暴れてたかな? ほら、わたしちーちゃん乙女かわいくて大好きだから、いいところだけ覚えてるんですよねっ。


まあ、あれですよ。手作り弁当。特にね、ちーちゃんのような中高生にとって、これは強烈です。気になる男子がどう見ても女の子に作ってもらったようなお弁当を食べているのを見た。これだけでもう、すべての勝敗は決したとあきらめてしまうのも無理のないほどなのです。

しかし、鈴乃ちゃん作のお弁当はすごいお重だね。おせちなんてお正月以外に見たことないよわたし。ていうか、これだけ作るのにどんだけ手間がかかるかって! 伊達巻き一本だって自分で作るとけっこう面倒ですよ*1。あ、わたし、伊達巻き大好きなんです。おせちのお重にあれだけいっぱいに詰まってたりすれば幸せだと思うくらい。だけどほら、なかなか年末年始以外売ってないんですよね。だから、時々自宅で作るんです。そのための専用巻き簾もありますよ。


えーっと、そう。手作りお弁当。ハートですよハート。ごはんにハート。
これはもう確定! ちーちゃん大ピンチ!!


てな感じですけど、やっぱあれなんでしょうね。


エミリア「真奥狙いなの?
鈴乃「はい、魔王狙いです


こんな感じの話のズレがありましたよね。
まあ、ラブコメでのお約束を裏切らないアレな感じでキライじゃないです。


で、そうそう、夏ね。夏のスーツね、つらいんだわ。
うちの職場もね、うるさいんだ。つねに緊張感のあるぱりっとした格好を保て、と。真夏になれば職員室も教室もエアコンが動くんだけど、これってばホントに7月~9月半ばまでの真夏のみ。6月なんて後半はもう汗だくだし、10月になるまで残暑は続くよねぇ。移動に使う長い廊下には空調はないし、ここは逆にエアコン期間には熱気がこもって余計に暑くなったりするわけよ。ブラウスマジ透ける勢いで汗かくもんだからたまらんわけですよ。


まあ、彼女のように、かんかん照りの中を突っ立ってるほどハードじゃないですけどね……って、いくら魔王が相手でも、助けてもらっておいてあんまりです勇者さま。


さて、コンビニで夕食を買って帰ろうとした遊佐恵美を襲った何者かが放った紫の光は、勇者の知識にはない危険な魔法と見受けられます。それは、魔力を吸い取る力でもあるものか、顕現させた聖剣が光を弾くたびに小さく、細く、弱くなっていくのです。もう剣が保たない! このままではやられる!?


そんな彼女のピンチを救ったのは……コンビニバイトのちゃらいにーちゃんでした。


つえー! まじつえー!
つえーってか、責任感あるな、と感心です。この緊急時にもしっかりとマニュアル通りに動けているのはよほどの強者と言えましょう。明らかに女を一人殺そうとしている風に見える犯人に対し、臆することなくカラーボールをぶつけるとはあっぱれ! キミのおかげで勇者は助かったのだよ。ひいては世界を救ったのかもしれないのだよ。


ビバ! ちゃらいにーちゃん!!


そんな感じ。では、また。

*1:難しくはないです