本編ではレヴィアタンの槍がルーカサイトに持ち去られてしまったことをきっかけとして、いよいよアクアフォール防衛隊としての冒険がスタートしようとしている重要なエピソードの回ですね。
短いようで長いつきあいから芽生えた仲間意識が彼女たちを強く結びつけて、一人はみんなのために、と友情が加速しようとするほほえましくもちょっとくすぐったいお話です。仲良しなんだからあだ名で呼び合おうよとかね。うん、かわいい。


そんな裏で今週も密やかに開催される女子会、もとい焚き火劇場のテーマは、好きなもの発表会でした。


ヨルムンガンドは当然のように牛丼イチオシです。
彼女曰く「よく煮込まれた薄切り牛肉、飴色のタマネギ、ふっくらと炊きあがった白米にしみこんだ甘辛いつゆ、ぴりりとした紅ショウガがアクセントで、丼の中にはアクアフォールがある」そうです。
意外と知的で形容詞の使いこなしが巧みですよね、ヨルムンガンド。わたしも牛丼は大好きですが、あの無骨で漢くさい食べ物でこんな詩的な表現はできません。

どうでもいいですが、大手三チェーンの間の比較でいえば、牛丼はすき家がお値段、味共に他社を頭一つぬきんでていると思います。


続いて、バハムートのイチオシはプリンアラモード。
こっちはとってもわかりやすくて、これを女の子で嫌いという人を見つけるのが珍しい定番スイーツでしょうか。
曰く「カスタードプリンのなめらかな舌触り、その周りを彩るアイスクリームやフルーツたち、そして『さらに甘くおなり』とばかりに絞り出されるふわふわのホイップクリーム。プリンには宇宙の真理があり、ぷるるるるんと乙女心まで一緒に揺れちゃう」そうな。

あー、うん、そうね。わたしも好きだけど、しばらく食べてないなぁ。パフェとかね、あんみつの類とかね、そっちはよく食べるのだけど、こういうスタンダードなプリンアラモードってば、思い出しても以前に食べたのがいつだったのかハッキリしないな。
うん、そうね、近々また食べてみよう。


で、こうなれば当然のように、レヴィアタンは麦茶を推すでしょうね。
うん、麦茶もいいですよね、小さい頃に田舎のおばあちゃん家にいくと、なぜか砂糖入りを飲まされた記憶があります。いや、美味しかったですよ、というか、美味しかったという思い出はあるんですが、具体的にどんな味だったのか思い出せない。いつから飲まなくなったのかも……ああ、これは、おばあちゃんが亡くなったからかな?


思えばおばあちゃん孝行できてなかったよなぁ……と、感慨に浸るのは別の機会にいたしましょう。
レヴィアタン曰く「イチオシはお兄ちゃん」だそうで。


は? 他の三人には彼女が何を言い出したのかさっぱり理解できません。


「お兄ちゃんってカフェインゼロなのよ。ミネラルだって豊富だし、健康にとってもいいものよ。毎日飲んでも飽きが来ない。そう、お兄ちゃんは麦茶のような人なの、そして麦茶はお兄ちゃんなの

「ノンカフェインなら水だってそうでしょ? 海洋深層水ならミネラルもたっぷりだし」


もう、レヴィアタンの言っていることは、あきらかに自分たちとは違う未来を生きる異邦人のそれに他なりません。少しでもこの異常事態を己の理解の範疇に収めんがために発したヨルムンガンドとバハムートの容赦ないツッコミは、しかし、お兄ちゃんが行方不明になって不安定になっているレヴィアタンの乙女心を鋭くえぐるのでした。


「え、うそ、どうしよう」


お兄ちゃんと麦茶との関係性がぐらついたために、自我の崩壊の危機に瀕したレヴィアタンの明日はどっちだ!?


……ていうかさぁ、レヴィアタンさぁ、麦茶の話だよね?
変なもん飲んでたんじゃないよね? ね?


あれ、そういえば、シロップの好きなもの発表はなかったなぁ。


まあ、何でも美味しくぺろりと平らげるし、選べと言われても無理なのでしょうが。
そんなところで、また来週!