内容はよくおぼえてないけれど、長い長い夢を見ていたような気がする。とても大切な夢を見続けていたような気がする。
ただ……その、よくおぼえていない“夢”の中で、来ヶ谷に「鈴を守れ」と言われたことだけは間違いない気がする。
これは、とても大切なことなんだろうと、理由はわからないままに、理樹は信じている。


心の奥にもやがかかったような気持ちを抱きながら日々を過ごす理樹に、人生における一大イベントが発生します。


告白


これ。
告白ってする方はもちろんだけど、される方も勇気が要るものです。
相手の気持ちを受けるにしても、受けないにしても、しっかりとした返事をすることが最低限の礼儀だとわたしは思いますし、その礼儀を通すために必要な勇気の消費量といえば、今際の際に長い人生すべてを思い返したときにでも上から数えた方が早いくらいの大消費量でしょう。
ちっとも大袈裟じゃないよね。そのくらいの大事件だよね。


告白してきた相手が仮にモブ子*1だとしても


とつぜん告白してきたクラスメートの杉並さんは、理樹の返事を待つまでもなく「直江くんには好きな人がいるもんね」と勝手に自己完結して去って行ってしまいます。
こうなれば理樹の中に残るのは、初めての告白に浮かれる気持ちと、彼女の言っていた“好きな人”とは誰かの疑問だけなのです。そう、彼には強いて好きな人などいなかったのに、ここで水を向けられたせいで、鈴への気持ちに“気付いて”しまったのです。

時をほぼ同じくして、鈴も上級生に告白を受けています。彼女も彼女で恥ずかしさもあるのでしょうが、表だって恋心の存在を臭わせたことはありません。前回までに理樹に向けていた冷たい視線は、わたしとしては今回騒いでいたときの真人と同じに、理樹に彼女ができることで友人付き合いが遠くなる事への焦りの方がヤキモチよりはるかに強かったのではないかと考えます。
そんな鈴も、今回のことで目覚めてしまい、理樹への気持ちに“気付いて”しまったようです。

でもね、初恋って実らないって言うでしょ? これは初恋はだいたい小さい頃だから告白自体できないとか、仮につきあい始めても進路や親の都合ですぐ別れ別れになるとか、双方が子供だからケンカ別れになりがちだとか、それだけじゃないんですよね。
なにより、初恋って、恋の練習なんですよ。本番じゃないんです*2。そして、そこに本人たちが気付けるのは、ずっと後になってからのこと。


とうとう気がついてくれたんだな」と、恭介。
いつかそうなると思ってた」と、小毬。


ふたりがふたりとも、誘導されているように見える恋。
誰が、何のためにそんなことをしているのか。

リトルバスターズのみんなが、理樹と鈴の初々しいカップルを祝福しています。
これでよかったんだ、やっと、ここまでたどりついたんだ、と言わんばかりのみんなの態度に、わたしは若干の怖気が走りました。


そして、その究極がこのシーン。


ぞわっ……ときましたね。リトルバスターズの結末を知っているからこそ*3、なおのこと、こわいと思ったんだと思います。

これだけは言っておきます。リトルバスターズってキレイで優しいだけの話じゃ有りません。とてつもないエゴイズムに満ちた目を覆いたくなるほど汚い部分もこっそりと裏で流れているお話なんです。



△▼△


さぁ、なかなかおもしろくなってきたぞ。
特にこの終盤において、ゲームじゃ単なる立ち絵とテキストだった部分が、次々と具体的な絵となって目の前にばばんと立ちふさがるインパクトはすごいですよ。

次回は最後の課題ですね。理樹は無事世界の秘密へたどり着くことができるでしょうか。


ホント、楽しみ。

*1:声は大物でしたけど

*2:異論もあるかもしれないがあえて言い切ります

*3:原作ゲームのラストと大きく違ってくる可能性もまだありますけどね