香織に初めての女の子の友達ができた。だが、香織にとって自分より大きな存在が現れることに対する裕樹の不安は、この快挙の中でもいや増すばかりだった。


ん。そう、そうでなきゃいけない。
やっぱり同性の友達がいなきゃダメ。ぜったい。

というより、特に女の子は男の子に友情を求めちゃいかんですよ。痛い目見ますよ。表面的に友達を装っていても、ちょっとしたきっかけでたまりにたまったリビドーの爆発で最悪の事態に陥ることすらあるのです。
だから絶対その辺で異性間の“友情”には一線を引かないとダメ。


まあ、何度か述べているわたしの持論はさておき。


今回の裕樹君の不安はよくわかります。新しく仲間に加わった〈山岸沙希〉なる少女は、良きにつけ悪しきにつけ、既存の世界をいとも簡単に無自覚にぶちこわすタイプの子です。
あまり好きな言葉ではないのですが、よく使われる『空気の読めない』タイプが彼女なわけですね。
対して、長谷裕樹君はその正反対ともいえるタイプです。常識を尊び空気を読んで世界を大切にする、という。
壊れていく自分の居場所をはらはらしながら何もできずに見守る気分は、さぞかし胃の痛くなるものだったのでしょうねぇ。


ただ、最終的には、裕樹君は沙希を歓迎する方向で落ち着きます。
それは彼女の存在が、彼女が壊した世界が、香織を幸せにするものだと気付いたからなのかな。
あ、あと、これもあるね。彼女が自分のライバルにはならないと思ったから。女の子だものね。


やっぱり香織もずっと無理をしていたんでしょう。裕樹を大切な存在と認めていることは嘘ではないにしても、恋人でもない異性の男の子が相手では、やっぱり一緒にできる事ってずいぶんと限られてしまいますからね。
また、たとえ同じことをするのであっても、女の子同士で遊ぶのと男の子と一緒にするのでは、これまったく違ったものになってしまうわけですよ。


それが「また月曜に」と沙希と別れた金曜日に見せた、香織の涙の本質なのではないか、と。今日ほど誰かのことを忘れたくないと思った日はなかったんじゃないかなぁ。
……あったとしても、その辺の記憶もすっかり消え失せていると思われますけれど。


そんなところですね。
来週は、めっさ若すぎる香織のお母さんの活躍回でしょうか。