きわめて一般的な日常

きわめて一般的な日常を綴っていたはずなのですが、いつのまにかアニメやゲームの話ばかりになっていました

棺姫のチャイカ 第09回『記憶の値うち 』

赤、青、黄色、緑 ── 色とりどりの魔方陣の花が空に咲く。終戦記念日を祝う花電球*1だ。
街の商店という商店が豊富な品を軒先に並べて人々を誘うと、まるでそれに引き寄せられるかように平和を謳歌する多くの人々が集まり、年に一度のお祭りはたいそう賑わっていた。


だが、誰もが今日という日を祝えるわけでもない。戦争で肉親を亡くしたもの、終戦で仕事を失い日々の生活に困窮する元兵士……未だに『戦後』は終わっていないのだと、ジレットたちもチャイカたちも、それぞれが全く違った立場から、だが同じ思いを抱いていた。


そうですよね、今の日本のように戦後70年近くになってしまえば、戦争の思い出がある人たちのほとんど亡くなられていて、戦争を知らないわたし達のような世代が単純に平和万歳と御祭騒ぎでいられるんですよね。


でも、作中では戦争が終わって10年くらい? まだまだ引っ張ってますよね。物心ついたばかりの子供以外はみんな戦争の思い出がありますもんね。

トールは多感な時期を戦中のサバターの修行に明け暮れていた青年です。幸か不幸か彼が戦場に立つ前に戦争は終わってしまいましたが、だからといって、それまでの生活を忘れてあっさりと新しい生活に切り替えられるほどに器用でもないのです。


おそらくはトールの戦中における最悪の思い出は、今回語られた里に出入りしていた行商人の女性の〈ハスミン〉の死、でしょう。原作に寄れば犯人は食い詰めて山賊に身をやつした元兵士たちでしたか。そんな連中に罪もない行商人一行が皆殺しにあったわけです。
ハスミンはトールの幼い初恋の相手だったんですよね。10歳以上も年上の女性に恋した幼い少年。そのまま生きて別れたならいい思い出のまま残ったのでしょうが……。


これ、原作の方だとまさにトラウマものなんですよ。
山中で身体中を槍で突かれて虫の息だったハスミンをトールが見つけた……まではアニメも同じなんです。違っていたのは、原作だと彼女は生まれたばかりの小さな赤ん坊を抱いていたんです。悲鳴にもならないくぐもったうめき声を発しながら、最期の力を振り絞ってトールに我が子を託すハスミン……でも、こんな状況で赤ん坊が生きている訳も無い。彼女は我が子の死に気がつかなかったのか、認めることができなかったのか……。


きっついよねぇ。
あまりに残酷すぎるっていうのでアニメじゃやらなかったのかなぁ?


それでも、どんなにつらくいやなことでも、過去の記憶が、思い出が今の自分を作るのです。
それを否定してはいけない。思い出があるのは幸せなことだと、トールに優しくほほえみかけていたチャイカが印象的でした。
そういえば、チャイカは過去の記憶が一部曖昧なんでしたっけ。


そういえば、魔法思念料の代わりにウィザード自身の記憶が使えるとか。
記憶に込められた想い、思念が、文字通りに燃料になるわけですね。チャイカは過去に何度かこれを使ったことがあり……それが原因か、それ以外のなにかがあるのか、記憶がごっそり抜け落ちているところがある、と。


いずれにしても、トールは二度とチャイカにそれを使っては欲しくはないみたいですね。特に、自分との思い出を消されたりしたくない、なんてちょっとかわいいことも思っているのかも。


そんなわけで、今週もチャイカはいかなるかわいかったです。




また来週!

*1:要するに魔法で打ち上げる花火ですね