仕事以外での人との関わりを極力排除しようとするアイラの姿に困惑するツカサ。
彼女と6年もつきあってきたというカヅキはアイラが『機械のままでいたい』せいだろうと静かに吐き出すようにつぶやきます。
何も知らず経験も浅いいまのツカサには、到底この会話の意味を吟味するだけの余裕があるはずもありません。
ただ、先輩のアドバイスの通りにアイラと二人で出かけて少しでも絆を深めようと試みるだけでした。
見る限りどこもかしこも若い男女ペアとなっている人間とギフティアの組み合わせに置いて、この規定は何を意味しているのか。
或いは上層部は直接言葉にしないだけで“それ”を暗に求めているのかもしれない、とすら思う。
だとすれば、なんのために。
心底信頼し合った二人にこそよい仕事が出来ると信じているからか。
人と『ロボット』の間にどのような関係が築けるかの実験か。
はたまた、金と暇をもてあました趣味の悪いブルジョア層による単なる悪趣味なのか。
そんな思惑を知ってか知らずか、考えているのかいないのか。
我らがぽんこつヒロイン・アイラ嬢は、一切を黙して語らずなのでした。
誰からの贈り物も受け取ろうとしない彼女。
仕事以外で誰ともつきあおうとしない彼女。
それはまるで、思い出を作ることの一切を拒否しているかのようです。
思い出を作らないのは、もうすぐ消えてしまう自分のためか。
もうすぐ消えてしまう自分を見送ることにになる誰かのためか。
おそらくは、その両方。
強いて片方を選ぶとすれば後者のようにも思えるけれど、前者を軽視できるほどにギフティアは“ぽんこつ”ではないとわたしは思います。
そんな彼女が久しぶりに受け取った贈り物。ツカサからのプレゼント。
アイラにとってそこにどんな意味が生まれてくるのか。
期待しちゃいますね。