いまからさかのぼること約3年。

西暦2017年。

Firefox57のリリース。


その年、Firefoxは、Firefox Quantum となって生まれ変わった。


FirefoxをFirefoxたらしめていた豊富なアドオンを切り捨て、多くのユーザーの反対を押し切ってまで、Google Chromeと互換性のあるWebExtensionsに移行したのだ。

口さがないファン*1たちは声高に言ったものだ。


それなら重いFirefoxを使う意味がない
chrome使えばいいじゃん
アップデートしないわ


かくして、Quantumへの移行を拒んだ古参たちは、後にESR52と呼ばれる旧規格のFirefoxや、それと互換を保ったままさらなる進化を追い求めるWaterFoxを安住の地と定めた。


はっきり言って、Firefox Quantumが旧Firefoxに勝っているところはただの一つも無い。それは絶対の真実だ。誰が何と言おうとこの思いは揺らがない。それほどまでに、WebExtensionsとそれ以前で実現できる機能には隔絶があるのだ。


しかし、そうは言っても、時の流れは無情なもの。


時間は夢を裏切らない。夢も時間を裏切ってはならない


メーテルはそう言ったけれど、一部の新旧共用アドオンが更新を繰り返す内に、旧Firefoxとの互換性を失っていっているのだ。わたしたちの夢だった無限の可能性は、もはや風前の灯火と言っていい。

仕方がない。

わたしはようやく重い腰を上げて、Firefox Quantumへの移行を開始したのだった。


そしたら。




これが。





こうなった。


赤枠は完全に諦めるしかなかった機能。 緑枠は制限付きでなんとか使えている機能。

かなりなおざりな説明だが、これでいいのだ。

なぜなら、
今どき旧Firefoxを使っている人なら、間違いなく“わかっている”人だ。多くの言は必要ない。
なので、詳細な説明は一切しない。めんどくさいから。

これだけで一目瞭然だと思う。だよね??

このほかにもabout:configを用いてタブの開き方や位置など、なるべく旧型での環境を再現しようと試みた。ことで、なんとか、普段使いにストレスがかからない程度には調教できたと思う。三日ほどかかったかな。


しかし、諦めなければならなかったものも少なくない

どうしても無理だったのが、タブの多段表示
なんでこの程度ができないんだ*2と思う機能の筆頭だ。

それから、IME自動無効。
漢字入力をONにしたままアドレスバーに直入力しようとすると、自動的に英語モードにしてくれる。

細かいところに手が届くいいやつだった。


続いては、FireGestureで利用できたキープレスジェスチャー。
これはどういうものかと言うと、たとえば、CTRLキーとマウスの右クリックをしたままウェブサイトに並んでいるリンクの上をなぞると、通過したリンクが全てバックグラウンドタブで開く、みたいに使える。

多用してたんだよなぁ。

ああ、あとはコンテクストサーチもQuantumでは不便になっていた。
これはウェブサイトの任意の単語を選択してから右クリックで検索へと飛ばせる便利で必須な機能。

旧型ではこのように、サーチバーで用いるFirefoxが本来持っている検索エンジン機能をそのまま利用できた。

なのに、Quantumになるとそれができない。
コンテクストサーチ用にまた1から検索エンジンの作成をしなければならないのだった。


同様の機能を持つアドオンはいくつかあって、しばらく使い比べてみた結果、Context Search Originが最も使いやすいと感じた。参考にして欲しい。

そんな感じで、キープレスジェスチャーを使いたい場合だけはWaterfoxを使おうとすることで、一応の引っ越し完了とする。

いやホントに、不都合多いよ、Quantumは。
他のブラウザでは一切支障のないサイトなのにQuantumだけ激重で使い物にならないことも少なくない。


でもな。
まったく別のブラウザ、chromeやEdgeにOperaに変えるよりは、手間的にだいぶマシではあるのよね。

iPhoneやAndroidでもFirefoxだったから、ブックマークの共有やタブの共有、転送などいろいろやっていたのもあるしね。

悲しいことだけど、旧Firefoxはすでに進化を止めてしまったブラウザだ。いつの日か、全く使い物にならなくなる日が必ずやってくる宿命だ。

であるならば……なるべく早く。今のうちに、新しい環境に慣れていく必要があるのではなかろうか。それがいいのではなかろうか。

末筆ながら、余計なお世話としてオススメしておく。



*1わたしとかな
*2正確に言えば完全にできないわけでもないが、アップデートのたびに別の対応を強いられるケースも少なくないということ。付き合いきれない