千鶴が新撰組にきてもう一年ですか。短いようで長かった。
思えばいろいろありました。
池田屋事件禁門の変、その他にもなにせ新撰組ですもの、そりゃもう血なまぐさい事件が次から次へと、いやになるほど発生していたことでしょう。

 

でも、そのへんはほぼ史実の通り。

 

千鶴がそこに加わって何が変化があったかと言えば……。

 

一年間らぶらぶ……ぶらぶらしてただけじゃね?

 

ついついそんなことを思ってしまいそうなきわどいタイミングで、ようやく薄桜鬼は動き出します。

 

すぐれた論客にして剣客である伊藤甲子太郎の新規加入により、以前よりけがが原因で剣士として働けなくなっていた総長・山南敬助は、いよいよ参謀としての地位も追われることになります。
心を病み、半ばノイローゼになっていた彼は*1、必死で制止する千鶴をふりほどき、禁断の秘薬に手を出してしまうのでした。

 

──完成していれば、超人を生み出すことのできる秘密の薬。

 

それは、蘭方医である千鶴の父・雪村綱道が、幕府の命を受けて開発中のものでした。
新撰組は、未だ完成に至っていなかったその薬の人体実験場でもあったのです。

 

そう。
第一話冒頭で彼女を襲った化け物のような剣士たち。彼らは実験の哀れな犠牲者。

 

山南は行方知れずになった綱道に代わり、自分なりに薬の改良を進めていました。
でも効果はわからない。正気を失った哀れな隊士と同じ運命をたどる可能性も低くない。

 

それでも……わずかでも再び剣士として生きられる希望があるのなら。

願いは妄執となり、山南もまた、薬の力に支配されてしまうのでしょうか。

*1:史実においてもこの時期ノイローゼ気味だったようです