サブタイトルのLamentは嘆きや悲しみ、といった意味の単語です。
卑劣な大人に弄ばれる子供達の嘆き。
先の見えない不安に対する嘆き。
戦勝国アメリカに虐げられる日本人の悲しみ。
様々な意味の込められたタイトルなのでしょう。

 

脱走に成功した仲間と別れて一人で少年院に戻ったジョーは「おまえたちの犯罪の証拠を逃げたアンチャンが握っている」と、教官の石原と医師の佐々木を脅迫します。アンチャンの読み通り、脱走を手助けしたことを理由に院内で殺されかけていたバレモト・キャベツ・ヘイタイの三人は、これで救われました。再び同じ房に四人は集結します。

 

「俺たちのために一人で戻ってきたのか?」
「全員で戻る必要もないだろ? アンチャンのこともあるし」
「せっかく逃げたのに貧乏くじ引いたな」

 

でも、果たして本当にそうなのでしょうか? 

 

本当に少年院は牢獄なのでしょうか?

 

実は……ゆりかごなのではないのか?

 

わずかなお金を得るために、体格も体調も技術も遙かに格上の米兵とボクシングの試合をすることになったマリオを見て、そう思わざるを得ませんでした。いまだって問題を起こした子供に社会は冷たいものです。それが誰もが自分が生きるだけでせいいっぱいの終戦直後となれば……。

 

そう、誰もがいっぱいいっぱいだった時代です。パンパンと呼ばれた米兵相手の私娼たちだって、決して遊んで楽しんでいたわけじゃない。誰だって生きるために必死なんだ。俺たちだけが苦しいんじゃないんだ。

だまされ虐げられぼろぼろになった身体で、マリオも、スッポンも、喩えようのない悔しさとともに、そのことを骨の髄まで思い知るのでした。

 

来週は、アンチャンに指導を受けたマリオの雪辱戦、かな?
楽しみです。