きわめて一般的な日常

きわめて一般的な日常を綴っていたはずなのですが、いつのまにかアニメやゲームの話ばかりになっていました

屍鬼 第22回 『蔡蒐話』


村人たちは、何ら特別な力を持たない一般の人々だ。
普段であれば、たった一人の強盗にさえ立ち向かうことのできない普通の人々だ。
そんな彼らが、ふとしたきっかけで「軍隊」となる恐ろしさと言ったらどうだ。
「一人ではない」ことの恐ろしさはどうだ。


それは、一兵卒の屍鬼たちが勝てないのはもちろん、最強の人狼たる辰巳を翻弄し、抵抗らしい抵抗をさせないまでの力になる。



△▼△


恵は村を出たかった。山と畑以外に何もないし、新しいものを嫌うし、閉鎖的で、息が詰まりそうだ。
もしかしたら、屍鬼になったことをもっとも喜んでいたのは彼女なのかもしれないと思う。



なぜって……一度は村を逃げ出すことのできる翼を手に入れたのだから。そしていままさに、村をあとにしようとするところだったのだから。
惜しかった。そんなことを思って逝ったんじゃないかな、なんて思う。



屍鬼は神に救いを与えられる存在ではない。それどころか、神に祈る資格すらない。
それがうすうすわかっていたのに、なお最後まで信仰心を無くさずに生きてきた沙子は、あるいは一番人間の心を失わずにいた屍鬼なのだろうか。



だが、それでも、生きなければならない。神に見放されたとしても、それは死ぬ理由ではない。
元聖職者が彼女に差し出した手は、かつての同胞の血で真っ赤に染まっていた。



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辰巳を巻き込んで爆死しようとダイナマイトに火をつける夏野くんに、ようやく死に場所を見つけたとでも言いたげなほほえみをたたえて燃えさかる屋敷の中に歩を進める正志郎に、屍鬼の驚異からは逃れたけれど山火事のせいで滅ぶ村を思うととても勝った気分にはなれない尾崎医師等々。



出番のあった人たちには、それなりに結末が用意されていたはいたのではないでしょうか。


まあ、夏野くんの出番が少なすぎたような気はするけれど。
ん。あと一話分くらいあってもよかったかもしれないね。




そうそう。
救いの少ないこのお話の中で、せめてものなぐさめは、お姉ちゃんと弟くんが無事生きていたことだよねぇ。


さて。
とにかく、絵的にも話的にもなかなか忘れることのできない鮮烈なイメージを残してくれたお話でした。
長い間おつかれさまです。おもしろいお話でした、っと。