めんまの最後のお願い。それは、じんたんに涙を取り返すことだった。
そしてそれは、叶った。もう、彼女がこの世に留まる理由は無い。
じんたんに最後の種明かしをしたのち、彼女は一人この世を去ろうとしていた。
でも、ダメだ。まだ、ダメだ。
もう自由に動けなくなっためんまを背負い、じんたんは秘密基地へと駆けだしていく
めんまのお願い
……これ、もしかしたら、じんたんの母と約束していたことだけがすべてだったんだろうか。
一人の女の子が、大好きな男の子のお母さんとした大好きな男の子のための約束を、いまこそ果たそうと戻ってきただけなんだろうか。
超平和バスターズなんて実はどうでもよかったんじゃないだろうか。
ううん、わたしはそうは思わない。思いたくない。
- 超平和バスターズのみんなが仲良く幸せに過ごせますように
- 未だに自分に囚われている母や実家の空気をなんとか入れ替えることができますように
- じんたんの涙を取り返すことができますように
この三つが彼女の願いだったんだと思う。
この三つが叶ったからこそ、彼女は去って行けたんだと思う。
めんまの死因
じんたんの母は、余命幾ばくも無い自分に心配をかけまいとして、泣くことを封印してしまった息子の幼心を、最後まで気にかけていました。
きっと、何を期待していたわけでも無いんでしょう。小さな女の子に話したところで、何ができるわけもない。そう思っていたでしょう。だからこそ愚痴のような気持ちでふと、めんまに本音をこぼしてしまっただけなんでしょう。
だけど、めんまはそれを覚えていた。
じんたんの母に、じんたんが泣けなくなったと聞いたことを覚えていた。
じんたんの母に、じんたんが再び涙を思い出せるようにとお願いされたことを覚えていた。
そして、めんまは逝った。
じんたんの涙を取り戻すために、バスターズの仲間を秘密基地に集めたその日に。
……彼女の死の遠因には、まちがいなくじんたんの母の言葉がある。
じんたんはそれに気づいただろうか。
いや、気づいていないんだろう。それは救いだと思う。
もしここでそれに気づいたとしたら、彼は自分の母を、もうこの世にはいない母を、呪ってしまったかもしれないから。
救われた5人
じんたんも、ゆきあつも、あなるも、つるこも。
みんな、自分の薄暗くどす黒いヘドロのように純粋な思いを認めて告白することで、本当の意味でめんまの成仏を祈ることができるようになった。
ずっとうらやんでいた。ねたんでいた。でも、めんまを好きだとの思いは、それだけは、ウソではなかった。
そして、一人、ずっと浮いていたぽっぽ。
誰が好き、誰がうらやましい。そんなこととは無縁だったぽっぽ。
だけど、彼は誰よりもめんまに囚われていた一人だった。めんまを恐れ、めんまに消えて欲しいと願っていた一人だった。
彼は、めんまの最期を見た。彼女を見捨てたのは自分だと自分を責め続けてきた。
みんながみんなを許した。
それは、当事者のめんまを抜きにした、自分たちにのみ都合のいい“許し”だったのかもしれない。
ただ、これは、実は本筋なのだろうか。
めんまはもう、この世の人では無い。それならば、残された彼らが他の彼らを許すしかないではないか。
これがダメだなんて、残酷すぎるじゃないか。
もういいよ
まぁだだよ。
もういいかい。
もう、いいよ……。
もう、いい。
めんまに縛られることはない。めんまは、思い出の中にのみ残るべきだ。
みな、口にはしないけれど、きっとそう思ったはず。
めんまという愛らしく心優しい少女は、だからこそなおさらに多くの人を不幸にしてきた。
彼女にとってそれは不本意なことだったんだろう。彼女は自分よりみんなの幸せを望んでいたような子だったのだから。
だから、終わりにしよう。
めんまがいるのか、いないのか、そんなあいまいな“かくれんぼ”のような生活はおしまいにしよう。
さようなら、めんま。みんな、キミが大好きだった。
エピローグ
じんたんとあなるは高校へ戻り、ゆきあつとつるこも元通りの生活へと戻った。
ぽっぽは高認試験の勉強をはじめたようだ。船や車の免許も取得するつもりのようで、英語の勉強も欠かしていない。解放されても放浪癖は直っていないらしい。
彼らは大事なものを無くして同時にそこから解放された。
あの花は、心の中に咲いている花。いつまでも枯れずに咲き続けている花。それでいいんだと思う。
さて、終わり!!
いやぁ、まあ、よく一週分にここまで詰めた。Aパートの終わりなんてどう考えてもEDに続く流れだよね。それをなんの不自然さも無くBパートに続けちゃうんだから、素敵だわぁ。
単純にハッピーエンドといえないところがいいかもね。
裏読み始めると際限なくなりそうな隠された救いのなさ、とか。
うん、これは当たり。大当たり。さいごまでやらかすことなく締めてくれたよ!!
ふぅ……うん、満足。ありがとう、スタッフのみなさん。
木曜深夜の地獄のアニメタイムに幸あれ!
笑ったところ
ゴメン、ホントは笑うところじゃないんだろうけどね。
この神社の周りの民家が近すぎ。
さぞかし周辺住民の方々は迷惑したでしょうね。夜中に高校生らしき集団が神社で大騒ぎで、そのうちみんなで泣き出してるんだもん。これは警察ものだよ。
土下座までしてるしリンチやってるようにしか見えない。
あ、わたしはこの神社へ行ったことあります。
たしかに近いね、民家。
そしてこれ。
つるこの気持ちをはじめて知ったゆきあつの顔がよかったね。
『え? マジ?』ってセリフが聞こえてきそう。
……あんま、下品なこと言いたくないんだけどさ。
やっぱほら、しまりがいいとかなんとか、考えちゃうジュワ。
あー、うん。無し。忘れて。
わたしの清純なイメージがぶっこわれるわ。
さて、ホントにこれで終わり。
マジ、よかったですよぉ!