きわめて一般的な日常

きわめて一般的な日常を綴っていたはずなのですが、いつのまにかアニメやゲームの話ばかりになっていました

うさぎドロップ 第05回 『ダイキチはダイキチでいい』


りんを娘だとは思っている。
それなりにかわいいとも思う。だけど仕事と両立はできない。どちらを選ぶかと言われればわたしは仕事を選ぶ。自分は母親失格だし今後りんをどうしようとあなたに一任する。ただ、学校へはダイキチさんの姓を名乗って通わせてください。そうじゃなきゃいじめられるかもしれない。女の子だから姓に対する執着なんてないはず。では、あとよろしく。


ダイキチとりんの生みの母・正子との面談は、話がほとんどかみ合わないままに終了した。



保育園の卒園式を目前に控えた夜。ダイキチはりんに正式に自分の娘にならないかと……「河地りん」にならないかと持ちかけました。
小学校の入学も間近です。子供が保護者と違う姓を名乗ることに関しての心配は確かにあります。メチャクチャな母親ではあったけれど、正子の言っていたこともこの件に関しては一理あると思うし、その心配を払拭できるならその方がいい。
そしてなにより、おそらくは彼女を引き取ったことが一時の気の迷いではないことを自分に納得させるための儀式であり、けじめをつけるための決心でもあるのだと思います。


やだ


……対するりんの答えはシンプルかつ即答でした。


わたしは鹿賀りんでいい。おじいちゃんと同じがいい



いくら賢くてもたかだか六歳の子供にすぎない少女です。特に深く考えて言ったことだとは思えません。でも、だからこそダイキチは彼女の直感を尊重したのでしょう。
言葉を駆使して少しの“説得”を試みるだけで、きっと幼いりんの決心は簡単に覆せたと思います。ダイキチにだってわかっていたんだと思います。だけどあえてその手段を執ることはしなかったんでしょう。


ダイキチはダイキチでいい


続くその言葉に、ダイキチは自分の決めたことが間違いじゃなかったと感じたんじゃないかな、なんて想像しました。



ここね、きっと『ムリして父親を演じなくてもいいんだよ』って、気張ってきた自分にりんがそう言ってきたように感じたんじゃないでしょうか。彼の両目からこぼれ落ちる汗は、それを何より如実に物語っていたように見えたんですよね。ちょっと救われたような、っていうと大げさかなぁ。


どんなにがんばっても父親にはなれそうもない情けなさもあったのかもしれないけれど、それだけじゃないと思ったんですよね。



△▼△


父親とは、自分の子供が生まれて一緒に暮らしはじめてから、ようやく親の自覚が生まれるもの。
母親とは、10ヶ月も自分の胎内で慈しんできた命をおなかを痛めてまで産み落とすんだから、生まれたときから親としての自覚が芽生えているもの。


都市伝説ですね。



まあ、都市伝説かどうかはさておいて、必ずしも正解じゃありません。むしろ、ウソに近いかも。
女から見たって子供は自分とはまったく違う別個の生き物なんです。男親とのと違いは、生まれた子供が確実に自分の子供だっていう、その一点のみ。
それを縁として愛情を抱きやすいのはその通りかもしれませんが、そういう話ならば男親の方も同じですもんね。


だってそうでしょ。いきなり不意打ちで『あなたの子よ!』とかやられたらそりゃ認めづらいでしょうけど、結婚して、妻が妊娠して、どんどんおなかが大きくなっていくのを見守っていたならば、生まれたときにはもうかわいくて仕方ないと思うでしょう。


そんなもん。


結婚もしていない。生活にも不安がある、なにより望んでできた子供じゃない。
それなのに女なんだから無条件に子供を愛するはず愛するべき愛さなきゃ鬼だ、なんてばかげてますよね。たしかに無計画に妊娠してしまったり、生んだ子に対して親として最低限の責任すらも果たしていなかったり、正子は親として失格です。人によっては人間のくずだとまで誹るかもしれません。*1


だけどさ、そんな単純なものじゃないんですよ。どうやったって子供に愛情を感じない親はいます。幸せな家庭で望んで生んだはずの子供に対してすらそうです。暴言ですけどそのへんは犬猫のペットに対する思いと発露は大差なかったり……。


── で。ダイキチは不思議とこのへん寛容なんですよね。一見すると激しく正子を糾弾しているようで、その実、彼女のりんに対する認識を仕方の無いものとして受け入れている節が随所に見られます。
とってもとっても興味深いです。
まあもっとも、どちらかと言えば男性の方がこういう話には寛容なのは事実です。比較すれば女の方がよっぽど不寛容なんですよ。特に普通に子供を産み育ててきた既婚女性にはとっては絶対に受け入れられないものなんですよねぇ。



正子のような女性が正しいとは思いません。ただ、ひたすらそういうこともある、のもまた事実なんですよね。叩くのみならず行政はこういうケースにこそ積極的にお金を投入すべきだと思うけどそれはまた別のお話。


本日も長々とおつきあいくださいありがとうございました。
来週は入学式かな? 小学生になったりんが所狭しと動き回るのを楽しみに今週はここまで。


では!

*1:こういうときに同じく無責任なはずの父親が責められることがほとんどないのがおもしろいです