ここは瀬戸内海に面した広島県竹原市。高校進学を機にそこに引っ越してきた沢渡楓は、父の形見のレトロなフィルムカメラを肌身離さず持ち歩いている以外は、ごく普通の少々引っ込み思案の女の子です。


そんな普通の彼女が普通の友人たちと過ごす普通の明るい日常。
ときどきちょっと切なくて、でも優しい気持ちにさせてくれるあったかい物語。


それが『たまゆら』というお話。


今回の第一話目は、ちょっぴり昔の物語。
彼女が新天地での“普通”を手に入れるための、ほんの少しだけ普通じゃないアグレッシブに動き回った思い出のお話。


ん。なんとも難しいんですよ。
たまゆらのOVA版全四話は見ました。おもしろいのかどうなのか、本気で悩みました。


いきなり執事の男の子が実は女の子だと気づくこともないし、強大な使い魔を従えた魔法使いの抗争に巻き込まれたりもしないし、乳こそが理の世界でもなければ、海から間抜けな侵略者もやってこない。神様に居候されることもない上に、ニート少女と関わってやくざと杯を交わす展開もありえない。最高の小学生をバスケで調教する燃える流れすらない。せめてアイドルへの道を邁進するとか! 旅館がつぶれたりタイムマシンもどきを作ってしまって組織にねらわれることもないし……なんも無し!



や、ホントに。なんにもないんですよね。
だから判断に困るんです。あ、好きなんですよ、たまゆら。そこは間違いない。
でも、好き=おもしろい じゃないですからね。つまんなくたって好きなのはいっぱいあるし。


一般的な深夜アニメに慣れきっていると、こういう作品に戸惑うものかもしれません。
強いて言えば、女の子ばかりで男の子がいないのは、今風なのかな。一部で人気の百合展開も無いけど。いやいらないけどね。


それはさておき。



今回のお話はそこそこいらっ♪ ときどきうるっ♪ のいいお話でした。


どっちもおもに、ちひろちゃん。
泣きすぎうぜえ。でも、そこで泣いてくれるのはいい! そんな感じ。
友達のために損得抜きで泣けるのって、思春期の少女の特権だと思うんですよ。




そして、”そこ”で泣かないのはますますいい! そんな感じでもあったかも。
最高の友達が、親友が、自分の元から離れていく。ホントはこんなときこそ泣きたいんだと思う。でもきっと、ここは笑って送り出さないと。ようやく父の死から立ち直って前を向いて歩こうとしている友人の決心をくじいてしまう……そう、思ったから泣かなかった。



いい!! アリ!!!




はい、そんな感じです。
相変わらずなんというか空気なアニメの予感はします。
でも空気って意識しないけど不可欠のものですよね。
たぶん、無意識下で毎週わたしを癒やしてくれる存在になりそうな気がするので。


……でも、そう。
なのでなので」はやめてください。
戸田奈津子さんの字幕を思い出してしまうかもだ!!