急激に競技かるたに惹かれていく千早と、そんな千早と一緒にいようとする太一は、新に付き添われて地元の「かるた会」の見学に訪れた。はじめて見る本当の試合。初めて経験する団体戦。そこで二人は、新が一年生の時から昨年の五年生まで、全国かるた大会を連覇していた猛者だったことを知る。
会に参加することにした子供たちは、次の大会は三人で出ようと固い約束を交わす。ずっと一緒にかるたを続けていこうと楽しい夢を見る。
だけど、今日は卒業式。三人はそれぞれの道へと別れて歩き出す。
だけど、別れても、かるたを続けていればきっとまたあえる。そう信じて歩き出す。
大人でも子供でも、約束を守るのは実は難しいことなのかもしれません。
「会社で上司に残業を命じられたから」
その日の遊びの約束を守れない。
「もう終わりにしよう。別れた方がいい」
同じ未来を見ていたはずが、いつか道を違えてしまっている。
片道一時間半以上の通学時間を要する名門私立中学への進学を決めたために、地元のかるた会への参加が不可能となってしまった太一も、祖父が倒れたために一家全員で福井県へ戻らなければならなくなった新も、約束したときには本気で守ろうと思っていたんでしょう。「ずっとかるたを一緒にやろう」って
△▼△
仕方が無いこと。
千早もう小学六年生。それがわからないほどに幼くはありません。
ただ、理解することと納得することは別。思春期に入ったばかりの少女に、友人の“裏切り”を黙って認めろというのは酷な話。
ずっと一緒にいようって約束したのに!
ウソをつかれた。
ひとりぼっちになってまでかるたなんてやりたくない。
大会なんてもう出ない!
すっかりやる気を無くしていた千早のもとに、二人からの届け物がありました。
それは、大会の日の朝のこと。届いたものは、二人とおそろいの真っ赤チームウェア。
「チーム ちはやふる」と背中に大きく書かれたTシャツでした。
間違いありません。
「俺たちは先に会場で待っているぜ」というメッセージ……。
千早は家を飛び出してぎりぎり試合開始には間に合った。でも、結果伴わず負けてしまった。
それでもいい。今日のかるたは勝ち負けじゃ無い。
一緒に戦えた。それが、だいじ。
そして卒業式の日。
「きっともうあえないけれど、いままで一緒にかるたをしてくれてありがとう」そう泣きながら言う新に
「かるたをしていればきっとまたあえる」千早も大粒の涙をこぼしながら答えます。
ここ、じーんときたなぁ。
ああ、わたしも卒業式に泣きながら別れた友達がいたっけ、とか思い出してさ。
二人して手紙書くねって言ったくせに、一通も書いてないし届かなかったけど。
……いいんだよ。いいの。
子供なんて大泣きした次の日はけろっとしてればいいんだから。
そう、彼らもすぐに立ち直って新しい生活に一所懸命になるんだよ。
そして、いつかまた再開した日に、終わってなどいない友情の続きがはじまるんだよ。
そういうもん。そういうもん。
えーっと、小学生編は今回で終わりなのかな?
きっとそうだね、来週からまた残念美人の女子高生千早編か。
ん。楽しみにしていましょう。
では。