動く、話す、笑う、おびえる、逃げる、捕まる、動かなくなる、食べられる。
首のない鶏。体毛のない鶏。食べられるために殺され加工されたはずの存在が、ものを考え自分の意思で動いている。
なんのために? 自分で自分を始末させるために作られたかりそめの命なのか?


だが、彼らは立ち上がった。
自分たちを生み出した妖精たちに、自分たちを食べようとする人間たちに、恨みの鉄槌をいまこそ下すのだ。


こんなグロいアニメをわたしはいまだかつて見たことがありません



ていうか、どんな映像作品でもここまでひどいグロは少ないのではないですか。
ゾンビや、ソウや、ファイナルデッドコースターのように、わかりやすく見た目だけでグロい作品はいくらでもあります。
最近CS放送で散見する事の多い乱歩作品のように、人間の内面の狂気をこれまたわかりやすい形で表している作品も多いです。


でも、なにこれ。なんなのこの自然さ。
これをおかしいと思うことこそが異常なのではないかと混乱を誘発してきそうな、当たり前に淡々と進む異様な展開。


おっかないです。


知性の存在を認識した上で顔色一つ変えずにそれらを始末しようと懐から刃物を取り出す少女。
知性を宿した生き物たちが次々と物言わぬ肉塊に、人間の食べるための食品に自ら加工されていく流れ。


なにより、好き勝手に動き回るように見えて、その実、人間がちょっとしたショックを与えただけで、ただの物言わぬ食料と化す仕掛け。妖精たちによる悪意のない設計に冷や汗が出る思いでした。


一見するとのどかな田舎のお話に見せて、平和でものの豊かな現代に住むわたしたちの価値観とは全く違った終焉に向かう世界。
いやぁ、こわい。わたしじゃとっても生き残れそうにない過酷でシビアな世界なのですねぇ。



あと、今週も<わたし>の公務員らしさが全力全開なのがおもしろいです。
やるべきことはやろうとするけれど一線を引いてそれ以上のリスクは冒さないように心がけているところとか、通せるところだけ通そうとするけれど面倒そうなら折れちゃうところとか、握れる弱みは握っておこうとするところとか。


ん。そんな感じ。
実のところ、先週に感じていたよりずっと楽しめそう。来週も見ます。