オープニングラップでは他車と接触、マシンが損傷し結局レース序盤にリタイヤを余儀なくされたザウバー・チームの小林可夢偉は、「忘れたいレース」と無念さを表した。
「スタートはうまくいったんだけど、右にはロズベルグ(メルセデスAMG)、左にはペレス(ザウバー)とバトン(マクラーレン)がいた。
リタイヤ小林可夢偉(ザウバー)、「忘れたいレース」: FMotorsports F1
だれかが僕のリヤタイヤに当たって、マシンがコントロールできなくなってしまった。
一言で言えば、小林可夢偉が実に困ったことになりました。
小林可夢偉、チャンピオン争いの一角を占めていたジェンソン・バトンに追突して心中。
いや、この一戦だけの問題であれば、可夢偉にどれだけの非があったとしても、単なるレーシングアクシデントで片付くんです。
ただ、時期が悪い。
大きく分けて二つの意味で時期が悪いと思うんです。
シート喪失の危機
現在もっとも来季の立場が危ういドライバーの一人である彼にとって、この、レース冒頭に他車へ突っ込んでのリタイアという結末は、考え得る限り最悪のシナリオと言っていいでしょう。
ザウバーチーム曰く『勝っても負けてもシートへの影響はない』と言います。
つまりはスポンサー次第で決まるんだよ。そう言っています。
ただこれは、スポンサーの獲得は必要条件で、それがないままにどれほどの活躍を見せても無駄、と。そういう話ですよね。
言い方を変えれば、スポンサーを連れてきた上で、はじめて彼の成績とつきあわせて考えましょう、順番はそうなんだよ、そういう話です。
決して、こんなリタイアを喫したことがマイナスの評価にならないわけじゃないんですね。
また仮に、現在のザウバーのシートを失った場合、ほかのチームに居場所を探さなければなりません。
その場合はそれこそ今年の結果。どれだけ完走して、どれだけポイントを獲ることができたか、あるいは、ノーポイントで終わったレースにおいて、ドライバーである可夢偉の責任はどの程度あったのか。
様々な視点で選んでもらうことになるわけです。
可夢偉も同じじゃん
これ。
今年のF1を観戦している人ならばみんな『グロージャン・ミサイル』って聞いたことありますよね。
何度もスタート直後に他車に突っ込んでは、レースを台無しにするのを繰り返してきた、ルノーチームのロマン・グロージャンを揶揄したものです。
ほかでもない、可夢偉自身も被害に遭ってグロージャンを非難していましたし、ネタとして笑い話にしていたこともあります。
あまりのミサイル頻度に一戦の出場停止処分を受けたそのあとで、また今度はウェバーに衝突して激しく糾弾されていたのも記憶に新しいと思います。
世界中のメディアやファンが、今回のグロージャンのスタートには期待注目していました。
またやらかすかな?
やってくれるとおもしろいな。
いいかげんにしてくれよ。
等々、スタンスによって思うことは様々であっても、彼のスタートを固唾をのんで見守っていた大勢がいたんです。
そこで、可夢偉はやらかしました。
これはねぇ……大幅なイメージダウンですよ。
「偉そうなこと言ってそれかよ」
「所詮日本人なんて」
「可夢偉・ミサイルきたー」
マジでやばいと思うんだよなぁ、これ。
現在、国内あちこちのニュースサイトが、海外の『可夢偉シート喪失確定か!?』的記事を先を争うように掲載しています。
これを書いている時点ではまだ確定の情報はどこからも流れてはいないのですが、もはやソレも時間の問題と思えてしまうほどに、状況は悪いと感じます。
一部には『これじゃ外されて当然だ』な空気も形成されつつあるんですよね。
日本のファンにそう思われ始めるとまずい。ただでさえ見つからないスポンサーが層倍に現れなくなることは必至ですよねぇ。
だからさ、とりあえず、前向きにいこう。ファンのわたしたちだけでもそうしよう。
今回のミスはミスとして攻めるのも責めるのもいい。でも、他からのイメージに流されることなく、たった一戦のアクシデントだったことは意識しておこう。
そんな思いを新たにしたわけですが……やっぱ、不安だよね。
これ書いている間に“確定情報”が流れてきたらどうしよう、なんてずっと思ってましたよ。
なんとかそこは避けられたみたいだけどね。
はふぅ。
他のチームになってもいいから、何とか来年も走ってくれよ!
心から祈りつつ、終わり。