巴衛に振られてから落ち込み続けている菜々生を気遣って、友人の猫田とケイは彼女を泊まりがけの海へと誘う。しかし、海は魔物の巣窟だ。当然のように大反対の巴衛だったが、あんたは自分を振った上に傷心旅行までじゃまをするつもりかと菜々生はさらに大反発。結局、たまたま顔を出していた瑞希とともに、ナンパも上等の女三人旅行の予定をぶちこわすおまけとの形で巴衛も参加する事になった。
海岸で密かに一行を待ち受けていたのは、なんとミカゲとその旧友の風神・乙比古<おとひこ>だった。二人は何を企んでいるものか、海を統べる龍王・宿儺<すくな>に、巴衛が捕らわれてしまうように画策し、その通りになってしまう。必死に巴衛を返してくれるように懇願する菜々生に対し、数百年前に巴衛に奪い去られた俺の片眼を持ってきたなら解放してやると宿儺は言う。
かくして、菜々生は瑞希の時廻りの香炉の力を借りて過去へとんだ。過去の巴衛から龍王の眼を奪うために。
そして、菜々生のそんな行動すらも、ミカゲの計画通りだった。
自分を振った相手が相変わらずそばにいて、しかも、それまでと変わらぬそぶりで接してくるとしたらどうでしょう。
これはたまらないですよ。悔しいですよ、屈辱ですよ。
最初から最後まで、全部自分だけの独り芝居だったのか?
あのどきどきも、恐れも、勇気も、みんなわたしだけしか感じていなかったのか?
いっそ会えなくなってしまったほうがどれだけ楽な事だろうって思いますね。
その方がきっと傷だって早く癒えます。次の恋へと気持ちを切り替える事だってできます。
それが、いままでと変わらず優しい笑顔を向けられたら……。
もうふざけんなですね。マジ。
△▼△
さてと、この間の過去の巴衛を垣間見たエピソードは、今回への伏線だったようです。
どんな理由があったものか、はたまた理由すらないのかも? 海の一族を蹂躙して長の魔眼まで奪い去っていた数百年前の兇悪な巴衛。その姿も、声も、これまでずっと自分を守ってくれていた巴衛そのものなのに、獲物を狙うかのように見つめてくる目だけが違う。
果たして、菜々生は無事に龍王の眼を奪う事ができるのか?
そして、ミカゲの目的とはいったい?
待て、次回!
な感じですね。
なんていうか、いい友達できて良かったですね。なんかケイに借りた水着を着て「こんなかわいい水着初めて」とか言ってましたよ。アレかな。いままでスク水だけしか着た事なかったとか? 家の経済状態はお世辞にもいいとは言えない状態だったものね。友達もそれが理由か、なんだか彼女を見下している子ばっかりみたいだったもんね。
友達と一緒に学校外へ泳ぎに行くこと自体が、あるいは初めて……?
この世界ってヤツは、いいやつから死んでいく……やさしいやつほど悲しい思いをする。
不条理だ。菜々生ちゃんには是非とも幸せになって欲しい! いや、なるべき!!
そういえば巴衛ってば、振った後の菜々生への接し方でたった一つの違いが、体に触らなくなったことだったっけ。
この小さな違いは大きいね! あいつもなんやかやと意識してるのは間違いない!!
……逆の意味での意識って可能性もあるけどね、こういうのは。
と、とにかく。そんなこんなで、また来週。