魔力を燃料に動く自動車<ビークル>を入手したチャイカらは、その足で森の中に住むという領主のもとへと向かう。目的は、彼女が持つ皇帝の遺体の一部。
しかし、その森は棄獣<オルトロス>の跋扈する魔の森でもあった。
連携の取れた棄獣の群れの攻撃になすすべもなく翻弄され、そのおぞましい顎にかみ砕かれることをトールが覚悟したそのとき、突如として美しい女騎士が現れトールをかばうようにオルトロスの前へと立ちふさがる。


ただの一喝でなんと棄獣の群れをたじろがせてみせた、美しくも威厳に満ちたその声の持ち主こそが、この地の領主にして竜騎士の<ドミニカ・スコダ>その人だった。


とにかく目立ちまくる上に多くの人に敬遠されるし、とても密かに旅を続けながら他人には言えない手段まで行使して目的を達していこうとする集団とは思えない一行。

そう、問題はチャイカの棺なのです。

手放せと言っても聞きやしない、布で覆うことすら渋い顔をする、となれば、自前のアシを用意して外から見えないようにして運んでいくしかないわけですね。そこで、ビークルです。


戦争が終わると同時に放置されていたらしく、風雨にさらされてずいぶんと傷んでいたものを、手際よくチャイカが直していくんですね。わたしてっきり、トールが修理するものだと思ってました。だってほら、男子だし?


でもそうなんだよ、あのビークルも魔法の道具なんだよね。そうなればチャイカの領分なんだよ。チャイカってばつまるところガチガチのリケジョ*1なのよね。機械に強いのも当然か、と思い直した次第。

ん。チャイカかっこよかったです。バイクいじってる女の子みたいに。わたしなんかタイヤに空気を入れるのすら怪しいからなぁ。いいなあ、整備とかできると楽しいよね、きっと。お金も節約できるし。




△▼△


さて。
トールとアカリはチャイカにいらん知恵情報を提供していた者との接触を果たします。
ていうか、トールがいきなり斬りつけました。牽制とか手加減とか一切無用の殺す気満々で本気でやってました。単に物陰から辺りをうかがっていた自分たちの背後から声をかけられただけですよ。見た目も一般人で怪しむようなところの一つもない相手を、微塵のためらいさえ見せることなく殺すことができる……サバターの怖さってこれなのかもしれませんねぇ。

ただ、敵も然る者ひっかくもの。実体を見せずに忍び寄る白い影……のわけでもないのでしょうが、トールの一撃は彼の体をすり抜けました。立体映像の魔法で姿を現しているような? そんな存在なのでしょうか。

ともあれ、彼の目的は定かではありませんが、情報は確かです。
前回のアバルト伯爵も、今回のビークルも、おそらくドミニカが遺体の一部を所有していることも確かなのでしょう。


正体不明といえば、実はチャイカもずいぶんと謎に包まれている少女です。
彼女は終戦時には「国外にいた」と話していました。
これってアバルト伯爵の言っていたことと矛盾するんですよね。彼は本国の城でチャイカの死を確認したと言っています。そんなうそをつく理由はまったくありませんから、少なくとも彼は『チャイカと同じ姿の少女』の死を見ていると考えていいと思います。


これって、


どちらかが偽物の姫? あるいはどちらも偽物?

本当のチャイカ姫は、どこか別の場所にいる?


ですが、チャイカは、その問いには答えてくれません。
いえ、答えるすべが無いのです。記憶が失われているのですから。


失われている……元はあったのか?


などなど、考え始めると、いろいろと作者さんの張った罠に引っかかりまくりそうですねぇ。まあ、こんな序盤で確信に至れるほどの想像はできないですから、今後の展開に期待するほかありませんね。


あるいは、がんばって小説をアニメに追いつく勢いで読むとか。


……無理。ちょっとそれをやるには冊数が出すぎてるね。


ま、いいや。
今週はこんなとこ。まとまってなくてごめんなさい。




そうそう、チャイカのかわいらしさは今週も文句なしだったよ! うれしそうにビークルを動かすところとか、アカリの怪談に涙を浮かべるところとか、呪文からしておそらくは鶏をボイルしようとした魔法で大失敗とか。

*1:生まれて初めてこの言葉使いました