今回のタツミのターゲットは、スラムで集めてきた貧しい女たちを薬漬けにしては客を取らせている麻薬の密売人だ。
多くの人々の心身をむしばみ社会を疲弊させる外道一味を、タツミはレオーネと共に討ち果たす。
しかし、そんな順風満帆な殺し屋人生に機嫌良くアジトへと帰還したタツミを待ち受けていたのは、シェーレの訃報だった。帝具使いにして帝都警備隊員の〈セリュー・ユビキタス〉。
それが、長年にわたってその身に染みついた大きな勘違いとゆがんだ正義感に突き動かされて、シェーレを殺した女の名だ。
とはいえ『大きな勘違いとゆがんだ正義感に突き動かされて』殺しを続けているのは、むしろタツミの方なのかもしれません。
彼は未だに、自分の殺しが“世直し”だと信じています。
それはある一面では間違いでは無いのかもしれない。
ただ、そう評価するのは殺し屋である彼らであってはならないのだろうと、わたしは思うのです。
結果的に、あとから見れば、あれはそうだった。
多くの革命、維新はそういうものです。
往々にして当事者たちの“正義感”の暴走は、やりすぎによる悲劇を生むものでしょう。
タツミ以外のメンバーは、このへんをそれなりにわきまえている感じがしますよね。
なんて話はさておき、ですね。
これ、これなんですよ。シェーレの死。
『アカメが斬る!』の特徴の一つに、敵も味方もビックリするくらいにあっさりと死ぬ点が挙げられます。
モブキャラもメインキャラも死の前ではほぼ同等。そのくらいにあっさりとあっけなく誰でも散っていくんです。
アニメのシェーレの最期のシーンは、もう驚くほどに劇的に盛られていましたよ。原作の方はこれよりず~~~っとさらっと、ホントに「あれっ?」ってくらいにいとも簡単にやられてしまうんです。
これね、こわいですよ。
そのあと疑心暗鬼に陥りますもん。
「あ、これ死ぬ? ○○は今回終わり?」
「このセリフはフラグでしょ! いよいよ次はこいつが死ぬの?」
スリリングです。
もしかしたら本作の読者こそは、死闘を繰り広げる登場人物以上にどきどきしながら彼らの戦いを見守っているかもしれませんよ。
そんなわけですので、ぜひ原作本は読むべきかと思われます。
絵的な描写もエグくてキツいですよぉ……シェーレの最期も、セリューの怪我も、ぐえっ、て声出ちゃうかも。
では、また。
- 作者: 田代哲也,タカヒロ
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- 発売日: 2010/08/21
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