チャイカたちとクローディアとの『遺体』をかけての再戦が開始された。だが、万全の準備の上で立ち向かったはずなのに、形勢は前回よりむしろ悪化していた。
トールが前日より周到に用意したはずの罠の数々を、こともなく躱していく英雄。やがて捕らわれるトール。


そんな絶望的な状況を一変させたのは、一匹の猫(?)のお手柄。


一方、辛勝からなんとか皇帝の遺体を手にしたチャイカたちの裏で、赤いチャイカたちもまた初めての遺体集めを成功させていた。

さらに、新しい“チャイカ”……ヴィヴィ・ホロパイネンも、愛しい人の死を乗り越え彼の遺志を継ぐべく、再び立ち上がり旅立つのだった。


今まで登場したクローディア以外の八英雄たちは、そのすべてが心を病んでいるように見えました。
戦争を直接終わらせるほどの功績をあげたはずの彼らは、だがそれだけに偉業の詳細は秘匿され、本来なら得られるはずの名声を手にすることはできませんでした。

だからでしょうか。

彼らは自ら切り取った〈勲章〉 ── ガズ皇帝の分割された遺体 ── にすがり、あるいはそれを驕り、手に入れたものが分不相応な力であることにも気付かないまま、自滅へと追い込まれていったのでありましょう。


クローディアがそうならずに済んだのは、ひとえに皇帝の遺体の誘惑を断ち切ることに成功したからに他ならないのでしょう。
彼の偉大な禁断皇帝がその命と引き替えに残した強大な魔力は、たとえ世界の英雄といえども容易に御することの叶わない大きな呪いであり、解すことのできない猛毒でもあるのか。

完成されている既存の魔法の構造を解き明かし最適化して再構成できるほどの魔法知識を持つ彼女だからこそ、皇帝の力が自分一人の及ばぬところにあることに気付けたのかもしれないなぁ。


そんなこんなで、ワインのぶどう園の主として一定の成功を収めて平和に暮らしているわけでした。



△▼△


ともあれ、今回もチャイカはかわいかったのです。
やっぱね、泥にまみれてもあきらめずにみっともなくあがいてみせる彼女の生き様には、強さと同時にけなげな子供を感じて保護欲をそそられるわけですよ。

なにげにこう、色気づいちゃってさ。意中の男の子とのことをからかわれると真っ赤になっちゃうところもいいよね!



真っ赤と言えば、赤い方のトールへの気持ちも未だにくすぶっているようで、この先あるいは片言の美少女同士の恋の鞘当て(死語)が見られるかもしれない期待に胸を膨らませているわたしです。


ヴィヴィはさすがに、ジレット隊長一筋、かなぁ?


そんなところで、また来週。