さて、ようやく読み終わりました。
ときに、この本を病院の待合室の時間つぶしに読むことは、その後の検診で血圧が上がったりしてしまうのでオススメできません*1。
浴衣もあるでよ。
とまれ、相変わらず読み終えて感じたことは『巧い』のひとことです。
駆逐艦が旗艦として戦艦を率いるような、現実ではほぼありないような編成すらも、物語の一部として違和感なく組み込んでしまい、原作ゲームのリアリティすらも補完している、とまで言っては過言でしょうか?
今回は陽炎が佐世保鎮守府の秘書艦として着任します。
秘書艦と言えば、名目上はさておき実質的に提督に次ぐ艦娘指揮官として、戦艦や空母にすら命令を下すことの許される強権を与えられた職務です。
自然と、自分や近しい仲間の事だけを考えているわけにはいきません。
必要とあらば「死んでこい」と他の艦娘を激戦地にたたき込むことも選択しなければなりません。
陽炎は悩みます。
あの選択は正しかったのか。
次の作戦で正解を引き当てることが出来るのか。
自分のミスで艦娘だけならず一般の人々の命まで危険にさらしたのではないか。
それは、誰にもわかりません。
提督にも、ベテランの先任艦娘たちにも。
結局は神ならぬ人の身。
そのときそのときに自分に出来る最善に全力を尽くすこと以外に、“正解を引き寄せる”道はないのでしょう。
が。
全力を尽くしても……正解にたどり着くとは限らない。
秘書艦は、こんな悩みとずっと付き合っていかなければならないわけです。
この6巻では、密かに6隻以上での編成実験を行っていた*2タスクフォースが開発した連合艦隊システムも登場しています*3。
こちらもこちらで、原作ゲームでは語られていない設定の裏事情を(作者の筑地先生の解釈で)説得力抜群に物語に組み込まれています。
今更わたしがオススメするまでもなく大人気作に成長している本作ですが、あらためてここで言いたい。
艦これファンならぜったいに読んでおくべし! と。
艦隊これくしょん -艦これ- 陽炎、抜錨します!6 (ファミ通文庫)
- 作者: 築地俊彦,NOCO
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/エンターブレイン
- 発売日: 2015/08/29
- メディア: 文庫
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次巻が最終刊とのことで、わくわくするやら、残念やら。