いまや順風満帆の「音楽少女」。
仕事は途切れることもなく続き、メンバーが街を歩けば誰もが必ず振り返る人気ぶりに、誰もがニコニコ顔だった。少なくとも外からはそう見えた。
みんながそう見えるように、がんばっていたから。
祝!作画復活!
いや、よく見ると普通の作画レベルなんですが、前回のヒドいのを見たばかりだったために、まるで超絶作画のように思えてしまいますね。毎回このレベルはキープして欲しいんですよねぇ。
さて。
大人気です。この世の春です。
ファンに取り囲まれて身動きが取れなくなるシーンまで、有名税だと喜べるほどに、音楽少女のみんなは大満足なのです。
が、同時に、とてもフクザツな内情を抱えてもいます。
内々に予告されている「解散」。それを避けるためのハードルは限りなく高いです。
そこに加えて、センターの迎羽織が歌えなくなっている。
これはマズい。
ドリィとチョリガンナ
誰よりも自分に、仕事に厳しい羽織が、グループから抜けようとしたのは、責任感から。
そして、それだけではなく逃げでもあったのです。
そして、もう一つ、心の奥底にしまってあった重大な秘密。
それは、センターの自分が抜けることで、グループそのものを破滅させようとする暗い気持ち。
ほんの、わずかながらあった。確実に、それはあった。
匿名のアイドルSNSで心情を吐露し合っていた相手がはなこだと知った羽織は、ついついぜったいに言えなかった自分の醜い心をさらけ出します。
「どうして自分だけが」
つらいことがあったとき、多くの人が心に抱くネガティブな感情ですよね。
そう考えたところで、何一つ改善なんかしないのに。
自分が幸福になることを望むより、他人を自分と同じ不幸に落とし入れたいと、考えてしまう。
だって、その方が簡単なんだもの。
みんなで幸せになろう
「自分がいなければ羽織はもっとのびのびとアイドルができるのではないか」
桐が言っていたそうです。
即座に羽織は否定します。はなこは安心します。
「桐さんは身体を鍛えるためにトレーニングを続けているよ」
妹の自分も知らなかった隠れた姉の努力。
それは、彼女が抱える心の闇と比べていかにまぶしかったか。
迷惑をかけていると思うなら、かけないように努力すればいい。
迷惑をかけられたと考えるより、足りないところを補っているのだと思えばいい。
誰も、羽織がじゃまだとも、いらないとも、新しいセンターを用意しようとも思っていないんだ。
羽織が再び歌えるように、真ん中で光り輝いて自分たちを導いてくれるように、そう願っているんだ。
はなこが拙いながらに羽織の持ち歌を歌う。
負の無限ループに陥っていた羽織を明るい場所へ引っ張り上げるのに充分な、とても心のこもったあたたかい歌だった。
苦笑しながら「アイドル舐めんな」と羽織が言いたくなるほどに、下手な歌ではあったけれど。
「できるよ」
「まだ音楽少女できるかな」
「できるよ!」
「まだアイドルできるかな」
「羽織ちゃんは最高のアイドルだよ」
今まで見てきてよかった。
泣いたわホントに。
さて、次回はついに最終回。
マジか!
ああ……終わっちゃうんだなぁ。