居酒屋「源太」で催された、女子部最後のメンバーとなる<ルビー・安曇>の歓迎会の最中、今日も今日とて波乃の怒りが爆発する。
発端は刺身が盛られた一皿だった。
「こんなの初めて見た」
「生魚なんて危なくて食べられない」
アメリカ育ちのルビーの告白に、宴の空気は一変する。
実はこの時代、魚はその全てが超高級食材になっていたのだ。
宇宙のイケスでしか獲れず、その技術も日本が独占しているために、海外ではほとんど食されることがなくなっているという。だが、あの波乃にそんな理屈が通じるわけがないのだ。
「魚を好き嫌いする宇宙漁師なんて絶対に認めない!!」
一難去ってまた一難。果たして、女子部に平穏が訪れる日は来るのだろうか。
前回にはさんざんに波乃の神経を逆なでする春をこき下ろしましたが、実のところこの波乃にしても、あまりタチがいい娘さんとは言えないのです。
むしろベクトルこそ違えど、春といい勝負にトラブルメーカーだと言えましょう。
- 居るだけで、愛想を振りまくだけで、不快感をまき散らす春。
- 他者を否定して、糾弾して、チームのモチベーションを下げまくる波乃。
実に名コンビです。
10日ほど一緒に閉じ込めておけば、イイ感じに蠱毒が生成されそうな、そんな二人です。
そういえば、波乃が高子に懇願するシーンがありました。
「ルビーを女子部から外してください。あの子はワガママばかりではっきり言って迷惑です」
ギャグ、ですよね、ここ。
ときどき光るギャグがあるのがあなどれない「ソラとウミのアイダ」だと思います。
さて、どこの提督が市長になっているのかは定かではありませんが、市役所指定の訓練装備という旧スク水をまとって波乃以外と海で遊んだことで、波乃以外とはすっかり打ち解けて仲良くなったルビーは、そこで波乃以外の協力で、食べられなかったお刺身も食べられるようになりました。
めでたしめでたし……ですが、そんなカンタンに好き嫌いが治ってたまるか!て感が免れないんですよね。
好き嫌いというのは生物としての防衛本能の一つです。これを食べるのは危険だと身体が訴えてきているからこそ、食べたくならないのです。
「でも実際は危険ではないだろう?」
仰るとおりです*1。
ですが、それが危険だと本能が認識してしまっている以上、結果としては同じことなのです。
学校で給食を全部残さず食べるまで許してもらえかった話、聞いたことありますよね。
大昔には、そうやって無理やりにでも食べさせることが正しいと信じられていたこともありました。
ですが、すでにそれは時代遅れなんです。食べられないものは食べられないでいい。必要な栄養は他のものから摂取すればいい。これが現在の大勢です。
あ、もちろん乳幼児期にはある程度の強制は必要ですよ。
その時期までに防衛本能の対象となる食物が決まるわけですから。
よく芸能人が旅物の料理番組などで、初めて目にした食材でも美味しそうに食べているのを目にすることがありますが、ああいうのは一般的に言われる「好き嫌いのない*2」人だからできることなんですよね。大人になって好き嫌いが残っている人だと、かなり難しいんです。わたしもそうなんですけども。
ちょっと話がそれましたけど、ここらがちょっと気になったもので。はい。
そしていよいよ、プールでの実機訓練の開始です。
今までぼろ負けが続いていた波乃が、たまたま今回一勝を上げたことで天狗になっています。
波乃以外が休日にチームとして交流を温めていたときに、自分は1人で泳ぎの訓練をしていたことを声高にアピールして、
「訓練もこなせないようじゃまともな宇宙漁師にはなれないわ」
宇宙漁を成功させるにはチームワークが必要だと説く春の言葉には、
「仲良しクラブでやっている人とは協力なんてできません。悔しかったら私に勝ってみろ」
宇宙兄弟を読んだことがあったりすると、すぐわかりますよね。
波乃みたいのは一次面接で弾かないとダメだって……。
そんな感じで、今回もストレスマッハのお話でした。
あ、でも、ルビーはけっこう好きになったかもしれない。
特に神社のお参りで「二拝二拍手一拝」の由来を尋ねても答えが返ってこなかった際に、
「なんでかわからなかったらどんな気持ちでやればいいかわからない」
これを聞いて、とっても真摯な子ではあるんだなぁ、って感じで。
ボロカスに言ってるけど、たぶんわたしこのアニメが好きなんだな。