「狂乱の魔女」が「悪の魔導師」が<月白琥珀>が、帰ってきた。
遠巻きに眺めて恐れおののいている生徒たちのことなど何処吹く風、未来の大魔女は若い頃からマイペースだった。
一方で、その孫の瞳美も、自分なりにちょっとずつがんぱっていた。この時代に、新しくできた友人たちに、溶け込もう、受け入れてもらおうと、なけなしの勇気を振り絞って心を開き始めていたのだった。
瞳美と琥珀
「わたし、未来からきたんです」
琥珀の後押しでの、たどたどしい告白。
いくら魔法が当たり前の世界でも、突拍子のなさすぎる瞳美の言葉。
誰も疑わなかった。
そのくらいに、もう友達だった。
隠したい秘密をすべて打ち明け合うことだけが友情の証だとは思わないけれど、それがお互いの距離を縮めることに大きく役立つこともまた事実。
秘密を共有できる関係って、つまりは強い信頼関係ですものね。
写真美術部のみんながもともといい子たちばかりだというのもあるけれど、それでもやっぱり瞳美ちゃんがんばったな、って思います。
そんな孫の小さな冒険など一足飛びに距離を縮めてしまうのが、祖母の琥珀です。
とにかくフレンドリー。誰とでもあっという間に仲良くなれるその性格は、瞳美のみならず誰からも羨まれるものでありましょう。
そんな彼女も、根っこの部分は年相応の女の子。
幸せな結婚に憧れて、結婚相手はどんなステキな男性だろうと夢見る乙女。
普段とのギャップが、これまたかわいらしい。
同い年の祖母と孫が協力して夜空に描いた魔法の汽車。

それは、琥珀の優しさに包まれた瞳美の自信が、きらめく星となって輝いていたのかもしれません。
って……祖母と孫の協力、琥珀の夢。あ、そうか、そういうことか!今週は伏線張られまくってるね。
男の子たち
かわいいと言えば「月白さんが二人はややこしいな」と言いつつ、自分からは決してその解決策を提示しようとしない山吹将部長は外せないですよね。
どうすればいいのかわかってましたよね。恥ずかしくて言えなかったんですよね。
「じゃあ、下の名前で呼んだらどうですか?」
ってあさぎが言った時に、ようやくそれに思い至った振りをして。
ホントにかわいいオトコノコだなぁって。
「じゃあ、瞳美と琥珀で」
テレながら言うのがホントにまた。
反面、いただけないのが唯翔です。
「琥珀と月白さん」
ポーカーフェースで「区別がつけばいいんだろ?」と、言い放つのは確かにカッコいい。
でもそれはあかん。おそらくは、唯翔に対して特別な感情は一切抱いていないだろう琥珀の方を名字呼びすのならいいけれど、逆はあかん。
唯翔自身が少なからず瞳美を意識しているからこその選択なのはわかる。
彼だって年頃の男の子なんだから、恥ずかしい気持ちが強いのもわかる。
でもやっぱり瞳美がかわいそうって思ってしまうのよ。
ホントは呼び捨てにしない方を意識しているとわかるのは、たいてい外野だけだから。
女の子たち
わりとこの作品はキャラクターたちの内心をわかりやすく描かないというか、アニメっぽい感情表現がひかえめにしてあるというか、リアル向けに振ってある部分が多いですよね。
好きな子の前に立つだけであわあわわたわた、顔からは湯気が立ち言うことやること失敗ばかり……みたいなことは実際は起こるはずもなく、初恋の小学生だってその気持ちを本人の目の前で隠すことは容易なんですよね。
おそらくだからなんでしょうが、部内での恋愛感情の流れがホントに掴みにくいです。
若く健康な男女が一つ所で仲良く交流をしていて、誰一人そんな感情を抱いていないとは考えられません。
ぜったいに誰かが誰かを好きで居る筈なんだけど……ときどきちょっとした意味深な視線の流れがあったりして、これはやっぱり?あるいはもしや?みたいに思えはするのだけど、イマイチ決め手に欠けるというか、もやもやしますね。
もっとわかりやすく見せろ!!って。
いや実際にそうしろってわけじゃないんですよ。
それはそれでこの作品においては興ざめになるだけかもしれないし。
ただ、もやもやするのはもやもやするから、わかりやすくしろ!って叫びたくなるだけという。
胡桃が耳を撮られるのを嫌がった理由は、果たして口にしたとおりのことだけなんだろうかとか、いろいろ想像するだけでも楽しいのではありますが。
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さてさて、瞳美が未来人だと知ってしまったことで、いずれこの世界から居なくなるのだろうと考えてしまったことで、唯翔はますますわかりやすい好意を示しにくい状態になってしまった気がします。
琥珀も入部して、この先どうなるのやら。楽しみです。