チア同好会の初舞台は、市営体育館で行われたバスケットボール部の練習試合だった。
短い準備期間を見事にこなし、急ごしらえながらもその役目を立派に終えた彼女らの勇姿に力づけられたのは、バスケ部の選手たちばかりではなかった。華やかさと力強さで観客全員をも巻き込んでくり返された応援は、恥ずかしさから及び腰だった<舘島虎徹>に、チア同好会への参加を決意させたのだった。
夜な夜などこからともなく聞こえてくると言うピアノのウワサの正体は、舘島虎徹が放課後に弾いていたピアノでした。
ただでさえチアへの興味が露骨に感じられる虎徹です。入部してもらって演奏してもらえば、部員も増えるしチアの練習も捗るし一石二鳥!
そんな打算も少なからず抱いたまま勧誘を試みてみるも、あえなく玉砕。
まあ、無理もないです。やっぱりチアをやってみせるのって勇気が要りますからね。
恥ずかしがり屋の女の子に乗り越えなければならないハードルは、見上げるほどに高いものだと思います。
そうは言っても、暴走機関車のような勢いがウリのこはねが、一度断られただけであっさり引き下がったのです。
とても意外だし、また、ちょっと不服にも感じたのが宇希でした。
なぜって、自分はいやだって言っても、何度も何度もしつこく誘われたんですもん。
しつこかったのが不服? とんでもない。
「そっかぁ、特別かぁ!?」
大喜びの宇希がかわいかったですね。
そういえば、ずっとなんだか、ちょっとひづめにちょっとだけヤキモチ焼いてたっぽかったですもんねぇ。
なんか言いたそうでなにも言わないひづめの無表情が、いい対比でした。
それにしても、宇希はいろいろいい子だな。
幽霊怖いけど大好き、なんてところ、わたしと同じだし、親近感を覚える。
さてさて、バスケ先輩に応援の依頼を受けてみたはいいものの、チア同好会にはユニフォームがありません。
手っ取り早く通販で買おうかと検索してみると、これがお高い。なんと19548円です。
高校生には高すぎますね、2万円の服ったら、大人だってちょっと勇気が要りますもん。
Tシャツとミニのプリーツスカートで急場をしのごうとする意見は、宇希が即座に大却下。
口には出しませんが、チアのかわいいユニフォームがいい!っていう、いじらしい乙女心なのですね。
これまたかわいい。
じゃあどうすんだ。都合よく短期のバイトでも飛び込んでくるのかな。
って思うじゃん?
全員が家庭科の授業でしか裁縫の経験がないのに。
ネットで検索して型紙をダウンロードして作ったわけなんですよね。
ネットつおい!!
もっとも、お披露目をした試合での観客が手作り衣装だと一目で見抜いていたところを見ると、実際のデキはそれなりのものだったようですね。
アニメで見ると既製品との区別はつきませんけれど。
アニメ便利!
直前に思いつきで始めたメンバー自己紹介では、虎徹も含めた観客全員にドン引きされたりもしました。
3人中2人が超初心者のチアリーディングは、きっと拙いものだったでしょう。
それでも、チア同好会の明るく楽しそうな力いっぱいの応援は、選手たちを激しく鼓舞しながら、その場にいた観客全員をも魅了します。
「わたしも、一緒にやってみたい」
虎徹が勇気を振り絞って同好会への参加を決意したのも、当然だったと言えましょう。
さあ、ようやく4人目です。5人目は来週には参加してくるのかな?
OPやEDでも、近づいたり離れたりしているような、忍者のような扱いになっていますが……性格もいろいろめんどくさそうですし。
ま、ともあれ、次回も楽しみですね。