FILM JOURNAL / 2026
2026年
出演:市川染五郎
尾美としのり・中島瑠菜・阿佐辰美・駒木根葵汰
松本幸四郎
若手俳優が主演する時代劇って、正直なところ、あまり得意じゃないんです。
昔よくあった、ジャニーズ系の若手俳優を前面に押し出した時代劇なんかは、どうにも肌に合わなくて。
でも、この作品は別。
若手俳優たちのしっかりとした演技が楽しめる、実に見応えのある 本格時代劇に仕上がっています。
まあ、外伝的な作品とはいえ、そこはやっぱり『鬼平犯科帳』ですからね。
今回描かれるのは、のちに「鬼の平蔵」と恐れられる長谷川平蔵が、まだ「本所の銕」と呼ばれ、放蕩三昧の日々を送っていた若き日の物語。
マンガやアニメだったら、きっと 『鬼平 Zero』 なんてタイトルがついていたかもしれません。
このエピソードは中村吉右衛門版の『鬼平犯科帳』でも映像化されていますし、原作小説もすべて読んでいる私にとっては、もうすっかりおなじみのお話です。
そういえば、確か中村版では吉右衛門自身が若き日の平蔵まで演じていたんですよね。
さすがにあれは、ちょっと無理があるんじゃないかなあ……なんて思った記憶があります。
さて、今回その若き日の長谷川平蔵、銕三郎を演じるのは市川染五郎。
これが予想以上によかった!
血気盛んで、軽率で、愚かで、剣の腕だってまだまだ未熟。
お世辞にも立派な青年とは言えないんですが、それでも根っこのところには、 弱きを助け、強きを挫く という信念がある。
無鉄砲で危なっかしくて、見ているこちらがハラハラするような若者なんですけど、その真っすぐさが実にいい。
のちの「鬼平」へとつながる片鱗を感じさせる、見事な演技でした。
そして、親友の岸井左馬之助を演じる山口馬木也もいいんですよ。
こちらはもう、剣一本に青春のすべてを捧げたような、実直で純粋な若者。
親友の銕三郎のためなら、命を懸けて戦うことさえためらわない。
その友情と覚悟には、ちょっと感動してしまいました。
で、ですね。
横山小平次ですよ。
横山小平次!
こいつがもう、
ほんっっっとに憎たらしい!!
いやなやつ! 最低なやつ!!
武士であることを笠に着て威張り散らし、自分には大した腕もないくせに、金の力で集めた“仲間”たちの中でお山の大将を気取っている。
もう、見ているだけで腹が立つような男なんです。
言いすぎですかね?
いやいや、女の子を騙して妊娠させた挙げ句、その命まで平然と奪おうとした男ですよ?
これでもまだ言い足りないくらいです。
……はっ!
そう、そうなんですよ!
いやあ、ここまで心の底から「こいつ、嫌なやつだなあ!」と思わせてくれるなんて。
悪役として、もう最高じゃないですか。
たまらないですね!
それから、もうひとつ触れておきたいのが、相模の彦十です。
中村吉右衛門版では、亡くなられた火野正平が演じていた、あの彦十。
今回この役を演じているのは、なんと尾美としのり。
そう、中村版で木村忠吾、通称「うさ忠」を演じていた、あの尾美としのりですよ。
もちろん、火野正平とは見た目も雰囲気もまるで違います。
違うんですけどね、これが思っていた以上にいいんですよ。
ちゃんと彦十なんです。
それにしても、尾美としのりというと、私の中ではいまだに若い頃の忠吾の印象が強いんですよね。
でも、考えてみれば、前作では30年くらい演じていたわけで。
仮に20歳で演じ始めたとしても、50歳。
そりゃあ、彦十を演じてもおかしくない年齢ですよね。
いやはや、時の流れというのは恐ろしいものです。
そんなわけで、久しぶりに若手俳優たちの演技を心から楽しめる、いい時代劇を見せてもらいました。
昔からの『鬼平犯科帳』ファンとしても満足ですし、若き日の平蔵を描いた一本の映画としても、十分に楽しめる作品だと思います。
そして何より、
イケメンもたくさん出てきますよ!
うん、これも大事。
おすすめです!
鬼平犯科帳:本所の銕 · 2026 / 個人的な鑑賞記


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