[洋画] エレファント・マン(1980)

FILM JOURNAL / 1980
エレファント・マン
(原題:The Elephant Man)
1980年:アメリカ・イギリス合同  監督:デヴィッド・リンチ
出演:ジョン・ハート、アンソニー・ホプキンス、 ジョン・ギールグッド、アン・バンクロフト

奇形や障害を持つ人間を見世物にすることなど当たり前。 人権意識というものが、まだまだ未熟だった19世紀のイギリス。

「母親が妊娠中に象に踏まれ、生まれてきた子供は、 この世のものとも思えぬ奇怪で恐ろしい姿をしていた──」

そんな煽り文句で見世物にされていた一人の男。 それが、エレファント・マンことジョン・メリックです。

映画 エレファント・マン

彼を発見した外科医のトリーヴスは、 医学的な興味を抱き、彼を研究したいという思いから、 見世物小屋から強引に引き取ることにします。

そう、最初はあくまでも「発見」であり「研究」だったんですよね。

トリーヴスにとって、ジョンは珍しい症例の一つ。 学会で発表し、医学界の人々を驚かせるための研究材料に過ぎませんでした。

ところが、接していくうちに、ジョンが非常に高い知能と繊細な心を持った、 一人の人間であることに気づいていきます。 そして、二人の間には次第に友情のようなものが芽生えていくのです。

しかし、世間の目は違いました。

どこまでいっても彼は見世物。 好奇の対象であり、珍しい動物のように扱われ続けます。 彼が傷つきやすい心を持った一人の青年であることなど、 誰も考えようとしなかったのです。

「ボクは人間だ。動物じゃない!」

彼のこの悲痛な叫び。

映画の中でジョンを追い立て、嘲笑する19世紀の人々。 そして、それを映画館のこちら側から眺めている21世紀の私たち。

果たして、私たちは本当に彼らと違うのでしょうか。

時代が変わり、社会の仕組みや言葉が変わっても、 人間の本質はそれほど変わっていないのではないか。 そんなことを突きつけられているような気がします。

もうかなり以前に見た映画なのですが、 今でも強く印象に残っている作品です。

さて。

なんで突然エレファント・マンの話を始めたのかと言いますと……

今日、ハロウィンじゃないですか。

実は昔、実際にハロウィンでエレファント・マンのコスプレをしたことがあるんですよ。

ハロウィンでエレファント・マンのコスプレ

まあ、そのときは紙袋をかぶってポンチョをまとった程度の、 ずいぶん簡素なものでしたけどね。

それで、なんとなく思い出して、こうしてぐだぐだと書いているわけです。

あ、今さらですが、ここは「映画ブログ」ではありません。

映画を肴にして、あまり関係のない、どうでもいいことを吐露するブログです。

その昔はアニメでも同じようなことをやっていたんですけどね。 最近はあまりアニメを見ていません。 今期なんて、なんと視聴数ゼロですよ。

ダンナは何本か見ているようですけど。

はい、早速どうでもいい話になりました。

さて、そんな『エレファント・マン』ですが、私が、

「絶対に吹き替えで見てはいけない映画」

の筆頭に挙げる作品の一つでもあります。

これはぜひ、字幕で見ていただきたい。

なぜか。

吹き替え版でジョン・メリックを演じている声優さんが、 国広富之なんですよ。

カッコいいというか、可愛いというか。 調べてみたら、御年73歳だそうですが、 今でも変わらず可愛らしい印象の方ですよね。 実はけっこう嫌いじゃないんです。

俳優さんとしては。

ところが、彼が演じるジョン・メリックの声が、 これまた見事なイケメンボイス。

滑舌もいい!

いや、もう、実に爽やかなんですよ。

声だけ聞いていたら、昔、女性オタクの間で流行った 「耳が孕む」というフレーズが、まさにぴったり。

うん、うん。

……いや、違うだろ、これ。

ジョンは重度の奇形によって、発声にも大きな障害を抱えていた人物なんですよ。

それが、こんなに爽やかで、ハキハキとしたイケメンボイスって。

どう考えても違和感があるでしょう!

ねえ? ダメでしょ、この吹き替え。

どうして監督さん、これでOKを出したんでしょう。 いや、そもそも、どうして彼をキャスティングしたんでしょう。

見ている間、どうにもそんな疑問が頭から離れませんでした。

もちろん、国広富之さんが悪いわけではありません。 声そのものは素敵なんです。 素敵なんですけど……。

そうじゃない。そうじゃないんだ。

というわけで、『エレファント・マン』を見るなら、ぜひ字幕版で。

……え? オチ?

ないよ。